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3. 司法修習
- 司法研修所の管理・運営について、法曹三者の協働関係を一層強化するとともに、法科大学院関係者や外部の有識者の声をも適切に反映させる仕組みを作ることに関し、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
- 新司法試験実施後の司法修習の在り方につき、実務修習を中核として位置付けつつ、修習内容を適切に工夫することにつき、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
弁護士の継続教育を法曹養成の総合的・体系的な構想の一環として位置付けたうえで、これを整備することに関し、逐次所要の取組を行うとともに、他の法曹に関しても同様の制度整備がなされるよう、必要な提言等を行う。
5. 新たな法曹養成制度の円滑な実施に向けて
法科大学院の設置認可や第三者評価(適格認定)のための基準の策定、新司法試験及び新司法試験実施後の司法修習の具体的な設計等について、関係機関で連携して速やかにかつ着実に検討を進めることに関し、提言等を行うとともに、制度改革に伴う必要な対応を行う。
第3 弁護士制度の改革
弁護士は、司法の運営に直接携わるプロフェッションとして、当事者主義訴訟構造の下での精力的な訴訟活動など諸種の職務活動により、国民の基本的人権を擁護する役割を有するとともに、社会正義の実現に責任を負う存在でもある。同時に弁護士は、常に国民の傍らにあり、その務めを果たさなければならない。弁護士制度改革は、このようなあるべき弁護士像を見据えて行われるべきものである。
1. 弁護士の社会的責任(公益性)の実践
- 弁護士がその使命にふさわしい職業倫理を保持するために、「弁護士倫理」を今日の状況に応じて改め、倫理研修を一層充実・強化するとともに、弁護士の職務活動の質の向上をはかるため、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
- 弁護士の公益活動の具体的内容と義務としての位置付け、及び活動内容の国民に対する説明責任に関し、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
2. 弁護士の活動領域の拡大
- 弁護士の公務就任の制限及び営業等の許可制については、届出制に移行することに関し、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成15年)。
- 弁護士の活動領域の拡大に対応し、「弁護士倫理」の在り方を検討し、倫理研修の充実、綱紀・懲戒制度の適切な運用等を行い、「弁護士倫理」の遵守の確保のため、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
3. 弁護士へのアクセス拡充
(1) 法律相談活動の充実
ア 全国各地において弁護士へのアクセスを容易にするために、地方裁判所本庁所在地には、弁護士会の「法律相談センター」が既に設置されているが、未設置の一部支部所在地に同センターを設置するための、所要の取組を行う(平成14年)。
イ 弁護士過疎地域において弁護士へのアクセスを容易にするために、弁護士会の費用で設立し、弁護士が常駐する過疎地型「公設事務所」の設置を更に進めることとし、所要の取組を行う(平成15年)。
ウ 都市部において弁護士へのアクセスを容易にするために、弁護士会の費用で設立し、弁護士が常駐する都市型「公設事務所」の設置を更に進めることとし、所要の取組を行う(平成16年)。
(2) 弁護士報酬の透明化・合理化
ア 弁護士報酬の透明化・合理化をはかるため、個々の弁護士の報酬情報の開示・提供に関し、必要な検討を経たうえ、逐次所要の取組を行う。
イ 弁護士報酬の透明化・合理化をはかるため、報酬契約書の作成、依頼者に対する報酬説明義務等の徹底に関し、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
(3) 弁護士情報の公開
ア 弁護士広告の原則自由化に関しては、現在でも、弁護士の取扱分野や実績などについて、一定範囲での広告が認められているが、今後その範囲を更に拡大するかどうかにつき、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
イ 弁護士に関する情報の開示を一層推進することとし、必要な検討を経たうえ、逐次所要の取組を行う。
4. 弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化
- 法律事務所の法人化については、既に平成13年10月31日に法施行に必要な所要の会則等の改正を行っており、平成14年4月1日から実現可能となる。
- 法律事務所の共同化・法人化、専門性の強化、隣接法律専門職種等との協働化を推進するための方策に関し、必要な検討を経たうえ、逐次所要の取組を行う。
- 弁護士の専門性を強化し、弁護士の業務能力を一層高めるため、研修の義務化を含めた弁護士の継続教育を一層充実・実効化する方策に関し、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)
5. 弁護士の国際化、外国法事務弁護士等との提携・協働
- 弁護士が、国際化時代の法的需要に十分対応するため、専門性の向上、執務体制の強化、弁護士及び弁護士会の国際交流等を更に推進することとし、所要の取組を行う(平成15年)。
- 弁護士が、国際化時代の法的需要に十分対応するため、専門性の向上、執務体制の強化、弁護士及び弁護士会の国際交流等を更に推進することとし、所要の取組を行う(平成15年)。
- 日本弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働を積極的に推進することに関し、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
- 現在取り組んでいる東南アジア諸国(ベトナム、カンボジア、ラオス)への司法制度整備支援への協力を更に強化するなど、発展途上国に対する法整備支援を更に推進するため、継続して所要の取組を行う。
6. 弁護士会の在り方
(1) 弁護士会運営の透明化等
ア 日弁連は、「弁護士自治を維持・発展させるために、市民の意見や批判に対しては謙虚に耳を傾ける必要がある。自治には重い責任が伴うものであり、弁護士自治に対する市民の理解と支持をより強固にするための努力を怠ってはならない。」(平成13年5月25日定期総会)旨決議しているところであるが、弁護士会運営の透明化を図るため、必要な態勢の整備をなすこととし、必要な検討を経たうえ、逐次所要の取組を行う。
イ 弁護士制度改革推進のために、日弁連弁護士制度改革推進本部(平成13年12月設置済)での検討を始め、更に必要な体制の整備に関し、逐次必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う。
(2) 弁護士倫理等に関する弁護士会の態勢の整備
ア 弁護士への社会のニーズの変化等に対応し、弁護士倫理の徹底・向上を図るため、その自律的権能を厳正に行使するための態勢の整備を行うこととし、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成15年)。
イ 綱紀・懲戒手続について、日弁連は、手続に市民が参加し、透明化をはかるため、綱紀審査会制度の導入を決議しているが(平成14年2月28日臨時総会)、一層の透明化・迅速化・実効化に関し、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成15年)。
ウ 依頼者の利益保護の見地から、弁護士会の苦情処理制度の適正化に関する諸方策については、全国における苦情相談窓口の一層の整備を図るため、所要の取組を行う(平成14年)。
エ 弁護過誤に対する救済を強化するため、弁護士賠償責任保険の普及等の方策に関し、逐次所要の取組を行う。
オ 法曹養成、継続教育段階での倫理教育・研修を強化することとし、逐次所要の取組を行う。
7. 隣接法律専門職種の位置付け
- 訴訟手続、及びADRを含む訴訟手続外の法律事務における隣接法律専門職種の位置付けについては、職種ごとに実態を踏まえて逐次個別的に検討したうえ、所要の取組を行う。
- 弁護士法第72条については、その規制内容を何らかの形で明確化することに関し、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
- ワンストップ・サービス(総合的法律経済関係事務所)については、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成16年)。
8. 企業法務等の位置付け
企業法務等の位置付けについて、必要な提言等を行う。
特任検事、副検事、簡易裁判所判事の経験者の有する専門性の活用等について、必要な提言等を行う。
第4 検察官制度の改革
検察官は、自己の権限・責任の重みを受け止めた上で、人権感覚に富んだ豊かな人間性を持ち合わせ、人間関係の機微や情に対する深い理解・洞察力を兼ね備え、被疑者や被害者等の基本的人権、関係者の心情や立場に十分な配慮をしながら、職務に取り組む姿勢を常に保持する必要がある。検察官制度改革は、このような視点からなされなければならない。
1. 検察官に求められる資質
検事が、一定期間、一般の国民の意識・感覚を学ぶことができる場所で執務することを含む人事・教育制度の抜本的見直しのために、法律事務所で執務できる態勢の整備を含め、所要の取組を行う(平成16年)。
2. 検察庁運営への国民参加
検察庁の運営について、国民の声を聴取し反映させることが可能となるような仕組みを導入することに関し、必要な提言等を行う。
第5 裁判官制度の改革
裁判官には司法を担う者としての高い質、即ち、「人間味あふれる、思いやりのある、心の温かい裁判官」、「法廷で上から人を見下ろすのではなく、訴訟の当事者の話に熱心に耳を傾け、その心情を一生懸命理解しようと努力するような裁判官」、など、その一人ひとりが、法律家としてふさわしい多様で豊かな知識、経験と人間性を備えていることが求められる。この高い質を有する裁判官が安定的に確保されること、このような裁判官が国民的基盤を持ちつつ、独立性をもって職権を行使する必要がある。裁判官制度改革は、このような視点からなされなければならない。
1. 給源の多様化、多元化
- 多様で豊かな知識、経験等を備えた判事を確保するため、原則としてすべての判事補に裁判官の職務以外の弁護士等多様な法律専門家としての経験を積ませることを制度的に担保する仕組みを整備するために、最高裁及び本部における検討状況、ならびに最高裁と日]弁連との協議結果を踏まえ、裁判官を法律事務所に受け入れることに関し、所要の取組を行う(平成16年)。
- 弁護士等からの任官の推進について、所要の取組を行う(平成16年)とともに、特例判事補制度の計画的かつ段階的解消につき、制度改革に伴う対応を行う。
- 弁護士任官等を推進するため、最高裁と日弁連が協力し、恒常的な体制を整備して協議・連携を進めることとし、非常勤裁判官制度の整備を含め、継続的に実効性のある取組を行う。
2. 裁判官の任命手続の見直し
最高裁判所が下級裁判所の裁判官として任命されるべき者を指名する過程に国民の意思を反映させるための機関を設置すること、及び同機関が、十分かつ正確な資料・情報に基づき、実質的に適任者の選考に関する判断を行いうるよう、適切な仕組みを整備することなどに関し、弁護士任官推進の観点から、必要な提言等を行うとともに、制度改革に伴う対応を行う。
3. 裁判官の人事制度の見直し(透明性・客観性の確保)
- 裁判官の人事評価について、評価権者及び評価基準を明確化・透明化すること、及び評価内容の本人開示と本人に不服がある場合の適切な手続を設ける等の仕組みを整備することに関し、弁護士任官推進の観点から、必要な提言等を行う。
- 裁判官の報酬の進級制(昇給制)について、現在の報酬の段階の簡素化を含め、その在り方について、弁護士任官推進の観点から、必要な提言等を行う。
4. 裁判所運営への国民参加
家庭裁判所委員会の充実、地方裁判所での同委員会と同様の機関の新設など、裁判所運営について、広く国民の意見を反映することが可能となるような仕組みの導入に関し、必要な提言等を行う。
5. 最高裁判所裁判官の選任等の在り方について
- 最高裁判所裁判官の地位の重要性に配慮しつつ、その選任過程について透明性・客観性を確保するための適切な措置の検討に関し、必要な提言等を行う。なお、最高裁判所裁判官が弁護士から選任されている現状にかんがみ、その選任過程の透明性・客観性を確保等に関し、必要な検討を経たうえで、逐次所要の取組を行う。
- 最高裁判所裁判官の国民審査制度について、国民による実質的な判断が可能となるような審査対象裁判官に係る情報開示の拡充に努めるなど、制度の実効化を図るための措置の検討に関し、必要な提言等を行う。
第6 法曹等の相互交流の在り方
真に国民の期待と信頼に応えうる司法(法曹)を育成するための法律専門職(裁判官、検察官、弁護士及び法律学者)間の、人材の相互交流の促進に関し、所要の取組を行う(平成15年)。
3. 国民的基盤の確立-国民の司法参加
に、国民は、司法の運営に主体的・有意的に参加し、司法も、司法権の独立に意を用いつつも、国民に対する説明責任の要請に応え、国民的基盤を確立しなければならない。司法は、その行動が、国民にとって、見えやすく、分かりやすく、頼りがいのあるものであって、初めてその役割を十全に果たすことができるのである。
第1 国民的基盤の確立
国民が法曹とともに司法の運営に広く関与するようになれば、司法に対する国民の理解が進み、司法ないし裁判の過程が国民に分かりやすくなる。その結果、司法の国民的基盤はより強固なものとして確立されることになる。
1. 刑事訴訟手続への新たな参加制度の導入
刑事訴訟手続において、広く一般の国民が、裁判官とともに責任を分担しつつ協働し、裁判内容の決定に主体的、実質的に関与することができる新たな制度(裁判員制度)を導入するにあたり、充実した争点整理のために十分な証拠開示の制度化、当事者の十分な事前準備の保障、直接主義・口頭主義の実質化、集中審理(連日的開廷)を可能とする手続の整備等の要請は一層顕著なものとなり、また、弁護士会の主体的参画は不可欠であるので、立法過程において提言等を行うとともに、制度改革に伴う必要な対応を行う。
2. その他の分野における参加制度の拡充
(1) 民事司法制度
民事・家事調停委員、司法委員及び参与員について、その選任方法の見直しを含め、年齢、職業、知識、経験等において多様な人材を確保するための方策策定に関し、弁護士から選任されている現状にかんがみ、必要な提言等を行う。
(2) 刑事司法制度
ア 1の第2の3記載のとおり、検察審査会の一定の議決に対し法的拘束力を付与する制度を導入するにあたり、弁護士が行うべき役割等につき、必要な検討を経たうえ所要の取組を行う。
イ 国民の幅広い層から保護司の適任者を確保するための方策策定に関し、弁護士から選任されている現状にかんがみ、必要な提言等を行う。
(3) 裁判官制度
2の第5の2記載のとおり、裁判官の指名過程に国民の意思を反映させる機関の設置等に関し、必要な提言等を行うとともに、制度改革に伴う対応を行う。
第2 国民的基盤の確立のための条件整備
国民が司法に参加する場面において、法律専門家である法曹と参加する国民は、相互の信頼関係の下で、十分かつ適切なコミュニケーションをとりながら協働していくことが求められる。このような法曹と国民との十分かつ適切なコミュニケーションを実現するためには、何よりも、司法の国民に対する透明性を向上させるための条件整備が必要である。
1. 分かりやすい司法の実現
司法の運用を分かりやすいものとし、法廷における関係者間のやり取りについても、傍聴をしている人にも理解できるような配慮をすることに関し、逐次所要の取組を行う。
2. 司法教育の充実
学校教育等における司法に関する学習機会を充実させるため、教育関係者や法曹関係者が積極的役割を果たすことに関し、必要な検討を経たうえ、逐次所要の取組を行う。
3. 司法に関する情報公開の推進
弁護士会における情報公開・提供を推進するために、必要な検討を経たうえ、所要の取組を行う(平成15年)。なお、裁判所、検察庁においても、情報公開・提供が推進されるように、必要な提言等を行う。