司法制度改革推進計画要綱~着実な改革推進のためのプログラム~

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第1 はじめに

1. 要綱の趣旨

この要綱は,司法制度改革審議会(以下,「改革審議会」という。)の意見の趣旨にのっとって最高裁判所が行うべき司法制度改革に関する措置の全体像を明らかにするとともに,司法制度改革推進本部(以下,「推進本部」という。)の設置期限(平成16年11月30日)までの間に行うことを予定する措置の内容,実施時期を示し,司法制度改革の計画的な推進を図るものである。

2. 基本的な指針

最高裁判所は,裁判制度を運営する国の機関として司法制度改革に関する施策を策定・実施する責務を負う立場から,政府が行う司法制度改革の推進に積極的に協力するとともに,最高裁判所が自ら行うべき施策を着実に策定・実施することにより,総合的かつ集中的に司法制度改革を推進することとする。
また,本要綱に基づき司法制度改革に関する施策を計画的に実施していくために,推進本部等と適切な連携を図るとともに,本要綱に基づく施策の実施状況等を踏まえながら,必要があれば本要綱を見直すものとする。

第2 改革を推進するための措置

最高裁判所は,第1の2の基本的な指針に基づき,司法制度改革を総合的かつ集中的に推進するため,推進本部の設置期限までの間に,以下の措置を講ずることとする。
なお,その後においても,司法制度の機能を一層向上させるため,継続的に改革・改善の検討を進め,必要な措置を講じていく予定である。

1. 国民の期待に応える司法制度の構築

国民がより利用しやすく分かりやすい制度,公正かつ適正な手続の下でより迅速,適切かつ実効性のある制度を構築するため,以下のとおり,改革を推進する。

(1)民事司法制度の改革

国民にとってより実効性を備えた民事裁判制度を構築するため,民事裁判の一層の充実・迅速化,専門的知見等を要する事件や労働関係事件等への対応の強化,家庭裁判所・簡易裁判所の機能や民事執行制度の充実・強化等を図る必要がある。
国民の司法へのアクセスを拡充するため,利用者の費用負担の軽減,民事法律扶助の拡充,利用相談窓口の充実を含む裁判所の利便性の向上,被害救済の実効化を図る必要がある。
司法に対する国民の多様なニーズに対応するため,裁判外の紛争解決手段(以下,「ADR」という。)について,その運営主体の公正さ,判断の適正さを確保しつつ,裁判手続との連携の強化などを含め,その拡充と活性化を図る必要がある。また,三権分立制の下で,司法が果たすべき役割の重要性にかんがみ,司法の行政に対するチェック機能の強化を図る必要がある。
これらの課題を解決し,国民の期待に応える民事司法制度を実現するため,推進本部等と連携,協力しつつ,推進本部の設置期限までに,以下のような措置を講ずる。

ア 民事裁判の充実・迅速化

  •  計画審理(手続の早い段階で,裁判所と両当事者との協議に基づき,審理の終期を見通した審理計画を定め,それに従って審理を実施することをいう。)を一層推進するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
    また,複雑な民事訴訟事件を中心として,その審理の充実を図り,合理的な期間内に解決するための所要の措置を講ずる。
  •  計画審理(手続の早い段階で,裁判所と両当事者との協議に基づき,審理の終期を見通した審理計画を定め,それに従って審理を実施することをいう。)を一層推進するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
    また,複雑な民事訴訟事件を中心として,その審理の充実を図り,合理的な期間内に解決するための所要の措置を講ずる。
  •  訴え提起前の時期を含め,当事者が早期に証拠を収集するための手段を拡充するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)

イ 専門的知見を要する事件への対応強化

  •  各種専門領域における法曹以外の専門家が裁判の全部又は一部に関与し,その分野の専門技術的見地から裁判官をサポートする訴訟手続への新たな参加制度(専門委員制度)について,関係機関と連携を図りつつ,検討を行う。
  •  鑑定手続を改善するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
  •  第2の1(1)アのとおり,民事裁判の充実・迅速化に関する措置を講ずる。
  •  法曹の専門性を強化するため,関係機関と連携を図りつつ,第2の2(2)のとおり,法曹の継続教育の充実等の所要の措置を講ずる。

ウ 知的財産権関係事件への総合的な対応強化

  •  東京・大阪両地方裁判所の専門部を実質的に特許裁判所として機能させるため,専門性を備えた裁判官や裁判所調査官の集中的投入等の裁判所の専門的処理体制の一層の強化についての所要の措置を講ずる。
  •  第2の1(1)ア及びイのとおり,民事裁判の充実・迅速化に関する措置等を講ずる。
  •  法曹の専門性を強化するため,関係機関と連携を図りつつ,第2の2(2)のとおり,法曹の継続教育の充実等の所要の措置を講ずる。

エ 労働関係事件への総合的な対応強化

  •  労働調停の導入を図るため政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも本部設置期限までに政府による措置の予定)
  •  労働委員会の救済命令に対する司法審査の在り方,雇用・労使関係に関する専門的な知識経験を有する者の関与する裁判制度の導入の当否,労働関係事件固有の訴訟手続の整備の要否について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも本部設置期限までに政府による措置の予定)
  •  第2の1(1)ア及びイのとおり,民事裁判の充実・迅速化に関する措置等及び第2の2(2)のとおり,法曹の継続教育の充実等の法曹の専門性の強化に関する措置を講ずる。

(ア) 人事訴訟等の家庭裁判所への一本化

  •  離婚などの家庭関係事件(人事訴訟等)を家庭裁判所の管轄へ移管するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)

(イ) 調停委員,司法委員,参与員への多様な人材の確保等

  •  民事・家事調停委員,司法委員及び参与員について,その選任方法の見直しを含め,年齢,職業,知識経験等において多様な人材を確保するための所要の措置を講ずる。

(ウ) 簡易裁判所の管轄拡大

  •  簡易裁判所の事物管轄について,経済指標の動向等を考慮して,訴額の上限を引き上げるための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
  •  少額訴訟手続の訴額の上限を大幅に引き上げるための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)

カ 民事執行制度の強化

  •  民事執行制度を改善するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
  •  家事審判・調停等により定められた少額定期給付債務の履行確保のための制度を整備するための法律の施行に伴い,最高裁判所規則の整備等の所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)

キ 裁判所へのアクセスの拡充

(ア) 提訴手数料

  •  提訴手数料の低額化のための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
  •  簡易裁判所の少額訴訟事件の提訴手数料について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年3月までに政府による措置の予定)

(イ) 弁護士報酬の敗訴者負担の取扱い

  •  一定の要件の下に弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入するための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも平成16年通常国会に政府による法案提出の予定)

(ウ) 訴訟費用額確定手続

  •  訴訟費用額確定手続の簡素化について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年3月までに政府による措置の予定)

(エ) 裁判所の利便性の向上

  •  ホームページ等を活用したネットワーク化の促進により,ADR,法律相談,法律扶助制度を含む総合的な情報提供を強化するなど,司法の利用相談窓口を充実させるための方策について,関係機関と連携を図りつつ検討し,所要の措置を講ずる。
  •  裁判所の訴訟手続,事務処理,情報提供などの各側面での情報通信技術(IT)の積極的導入を推進する計画を策定・公表するための所要の措置を講ずる。
  •  現在,既に実施している裁判所の夜間サービスについて,国民へ周知した上,夜間サービスの拡大及び休日サービスの導入に関する検討を行う。
  •  裁判所の配置について,人口,交通事情,事件数等を考慮し,関係機関と連携を図りつつ,見直しに関する検討を行う。

ク 被害救済の実効化

  •  損害賠償額の認定に関する制度について,関係機関と連携を図りつつ,検討を行う。
  •  団体訴権の導入等について,関係機関の検討状況を踏まえつつ,必要な検討を行う。

ケ 裁判外の紛争解決手段(ADR)の拡充・活性化

  •  ADRの拡充・活性化に向けた関係省庁等の連絡会議や関係諸機関による連絡協議会の体制を整備するため,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成14年半ばころまでに連絡会議を設置する等の政府による措置の予定)
  •  紛争解決に関する総合的な相談窓口の充実と情報通信技術を活用した関係機関等の連携により容易に情報を入手できる環境の整備について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成16年3月までに政府による措置の予定)
  •  ADRの担い手の確保について,情報の開示・共有を促進した上で必要な知識・技能に関する研修等を充実させるための方策について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(平成16年3月までに政府による措置の予定)
  •  仲裁法制(国際商事仲裁を含む。)を整備するための法律の施行に伴い,所要の措置を講ずる。(平成15年通常国会に政府による法案提出の予定)
  •  総合的なADRの制度基盤を整備する見地から,ADRの利用促進,裁判手続との連携強化のための基本的な枠組みを規定する法律案の検討等について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも平成16年3月までに政府による措置の予定)

コ 司法の行政に対するチェック機能の強化

  •  行政事件訴訟法の見直しを含めた行政に対する司法審査の在り方について,政府が措置を講ずることに伴い,所要の措置を講ずる。(遅くとも本部設置期限までに政府による措置の予定)

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      2. 刑事手続における犯罪被害者のための制度
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    10. 広報誌「司法の窓」
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      1. 司法制度改革:21世紀の司法制度を考える
      2. 司法制度改革:21世紀の司法制度を考える
      3. 司法制度改革:21世紀の司法制度を考える
      4. 司法制度改革:司法制度改革推進計画要綱
      5. 司法制度改革:21世紀の司法制度を考える(資料一覧)
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      33. フランス破毀院と最高裁との意見交換会について
      34. 英国(イングランド・ウェールズ)記録長官オンライン講演会について
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      40. 欧州人権裁判所長官とのオンライン司法会合を開催しました
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      43. タイ最高行政裁判所副長官が最高裁判所を訪問しました。
      44. タイ最高裁判所長官が最高裁判所を訪問しました。
      45. 英国最高裁判所とのオンライン司法会合を開催しました。
      46. インドネシア憲法裁判所判事が最高裁判所を訪問しました。
      47. ラトビア共和国最高裁判所長官が最高裁判所を訪問しました。
      48. 独日法律家協会一行が最高裁判所を訪問しました。
      49. アイスランド最高裁判所長官が最高裁判所を訪問しました。
      50. ベトナム最高人民裁判所長官が最高裁判所を訪問しました。
      51. 英国最高裁判所のリード長官を招へいしました。
      52. 宮川美津子最高裁判事就任記者会見の概要
      53. 「事件記録等の特別保存に関する規則」が施行されました。
      54. ベトナム最高人民裁判所副長官が最高裁判所を訪問されました。
      55. フィリピン共和国最高裁判所長官が最高裁判所を訪問されました。
      56. 元英国最高裁判所判事が最高裁判所を訪問されました。