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改正少年法の運用の概況(4)

平成13年4月1日〜平成16年3月31日
最高裁判所事務総局家庭局

はじめに

 平成13年4月1日に改正少年法が施行されてから3年が経過した。
 今回の少年法の改正は,大きく分けると,少年事件の処分等の在り方の見直し,事実認定手続の一層の適正化,被害者への配慮の充実の3本の柱からなっている。
 本資料は,改正少年法施行後3年間にあたる平成13年4月1日から平成16年3月31日までの運用の概況を取りまとめたものである(数値はいずれも平成16年6月10日現在の集計による概数であり,今後の集計整理により変動がありうる。)。

第1 少年事件の処分等の在り方の見直し

  1. 刑事処分可能年齢の引下げ(少年法20条1項)
     改正前は,終局決定時16歳未満の少年について事件を検察官に送致することはできなかったが,改正後は,14,15歳の少年についても,家庭裁判所の調査の結果,刑事処分を相当と認めるときは,検察官に送致することができるようになった。施行日である平成13年4月1日以降に行われた行為が対象となる。
     平成13年4月1日から平成16年3月31日までに終局決定時16歳未満の少年について事件を検察官に送致した例は,資料1のとおりである。

    (資料1)
    少年事件の処分等の在り方の見直し(資料1)
    (注)このほか,交通関係事件での検察官送致事例が2人(いずれも原動機付自転車の無免許運転による道路交通法違反の事案で,終局時年齢は各15歳である。)あった。
  2. いわゆる原則検察官送致(少年法20条2項)
     犯行時16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件(例えば,殺人(既遂),傷害致死等)については,家庭裁判所の調査の結果,刑事処分以外の措置が相当と認められる場合を除き,検察官送致決定をしなければならないこととなった。施行日である平成13年4月1日以降に行われた行為が対象となる。
     原則検察官送致の対象となり,平成13年4月1日から平成16年3月31日までに家庭裁判所で終局決定のあった少年は,のべ247人であるが,うち少年法55条による移送で再係属した少年9人を除いた238人の内訳は資料2のとおりであり,事件が検察官に送致された者は137人であった。
     犯行の動機及び態様,犯行後の情況,少年の性格,年齢,行状及び環境その他の事情を考慮し,刑事処分以外の措置が相当と認められて保護処分決定を受けた者では,殺人の場合,えい児殺等親族間で事件を犯したものや少年の精神状態に問題のあるものが多く,傷害致死の場合,共犯事件で少年の関与が付和雷同的なものが多い。

    (資料2)
    少年事件の処分等の在り方の見直し(資料2)
    (注)
    1.罪名は認定罪名による。また,幇助犯を含む。
    2.「検察官送致」はいずれも刑事処分相当を理由とするものである。
    3.少年法55条による移送は,家庭裁判所が検察官送致決定をした事件について検察官が公訴を提起した場合に,地方裁判所が,事実審理の結果,少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときに,事件を家庭裁判所に移送するものである。同条による移送で再係属した少年を計上すると,同一少年について当初の検察官送致決定との重複計上となるため,これを除外した。
      なお,同条による移送で再係属した少年9人は,いずれも罪名は傷害致死,受移送審における終局結果は保護処分(中等少年院送致)である。
    4.改正少年法施行前の10年間の平均検送率は,殺人(未遂を含む。)24.8%,傷害致死9.1%,強盗致死41.5%である。
    少年事件の処分等の在り方の見直し(グラフ)
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  3. 保護者に対する措置(少年法25条の2)
     改正により,「家庭裁判所は必要があると認めるときは,保護者に対し,少年の監護に関する責任を自覚させ,その非行を防止するため,調査又は審判において,自ら訓戒,指導その他適当な措置をとり,又は家庭裁判所調査官に命じてこれらの措置をとらせることができる。」とされた。
     各家庭裁判所においては,今回の改正により明文の規定が設けられた趣旨を踏まえ,より積極的な働き掛けに努めている。
     例えば,(1)家庭裁判所調査官が保護者に対する調査面接の中で,養育態度の見直しや被害弁償を促すなどの指導を行う際,保護者の責任等を分かりやすく整理したシートを活用する,(2)交通違反や薬物乱用の少年を対象とした講習を保護者にも受講させる,(3)社会奉仕活動に親子で参加させて親子関係改善の契機とする,(4)保護者会を実施して保護者の感情や経験を語り合う場を設けて監護意欲を回復,向上させる,(5)保護者にも少年非行の被害者の体験談を聞かせて被害者の痛みを理解させるなどして,保護者が主体的に養育態度を考え直し,監護についての責任を自覚するように働き掛けている。

第2 事実認定手続の一層の適正化

(資料3)
事実認定手続の一層の適正化(資料3)
注)
1.異議申立て以外はいずれも平成13年4月1日から平成16年3月31日までに家庭裁判所において終局決定があった人員である。
2.特別更新とは法17条4項ただし書きにより4週間を超えて観護措置を更新したものをいう。
3.異議申立てとは法17条の2による観護措置決定又は同更新決定に対する異議申立てをいう。
 また,異議申立て欄の件数は,申立て件数ではなく,1の期間内に申立てに対する決定があったものの件数である。

  1. 裁定合議制度(裁判所法31条の4第2項)
     改正前は,少年審判においてはすべて単独の裁判官で審理されていたが,改正後は,3人の裁判官による合議体で審理することもできるようになった。
     裁定合議決定をすることができる事件には特に制限がないが,非行事実の存否に争いがあり,多角的視点からより慎重に審理判断する必要がある場合や,事実関係には大きな争いがないものの,重大な事件であって,社会的関心が高く,非行の背景事情が複雑で,処遇決定に困難を伴う事案において,合議体による審理を活用することが予定されている。施行日である平成13年4月1日以降に裁定合議決定をすることができる。
     裁定合議決定があり,平成13年4月1日から平成16年3月31日までに家庭裁判所の終局決定のあった人員は100人であり,その内訳は資料4のとおりである。

    (資料4)
    事実認定手続の一層の適正化(資料4)
    (注)
    1.罪名は送致罪名による。また,幇助犯を含む。
    2.合議体による審理の場合には,最低2人の判事(いわゆる特例判事補も含む。)が構成員となり,裁判長は判事がなる。
    裁定合議決定のあった事件
  2. 検察官及び弁護士である付添人が関与する審理(少年法22条の2,22条の3)
    ○検察官関与決定
    一定の重大事件における非行事実の認定手続に家庭裁判所の判断で検察官を関与させることができるようになり,また,検察官が審判の手続に関与する場合において,少年に弁護士である付添人がないときには,家庭裁判所が国選付添人を付することとなった。
     検察官が関与できる事件の範囲は,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件,及び死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であり,傷害致死のほか,殺人,強盗,強姦,放火のいわゆる凶悪犯がおおむねこれに該当する。施行日である平成13年4月1日以降に家庭裁判所に係属した事件において,検察官関与決定をすることができる。
     検察官関与決定があり,平成13年4月1日から平成16年3月31日までに家庭裁判所の終局決定のあった人員は72人であり,その内訳は資料5のとおりである。

    (資料5)
    事実認定手続の一層の適正化(資料5)
    (注)罪名は送致罪名による。
    検察官関与決定のあった事件
    ○裁定合議事件と検察官関与決定
      平成13年4月1日から平成16年3月31日までに裁定合議決定と検察官関与決定がともにされた人員は21人であり,その内訳は資料6のとおりである。

    (資料6)
    事実認定手続の一層の適正化(資料6)
    (注)資料5に同じ

    ○国選付添人
      検察官関与決定があった72人中,国選付添人が付されたのは18人である。

    ○抗告受理申立て制度(少年法32条の4)
     検察官が関与した事件の非行事実の認定及び法令の適用に関し,検察官の申立てにより,高等裁判所が抗告を受理することができる制度が設けられた。
     平成13年4月1日から平成16年3月31日までに検察官から抗告受理申立てがされた例はない。
    (注)平成16年4月,強姦未遂保護事件につき家庭裁判所が言い渡した決定に対し検察官から抗告受理申立てがされた例がある
  3. 観護措置期間の延長等(少年法17条3項,4項,9項)
     改正前は,少年鑑別所送致の観護措置の期間は最長4週間とされていたが,改正後は,これを最長8週間までとることができるようになった。
     4週間を超えて観護措置期間を更新する(これを「特別更新」という。)ことができるのは,禁錮以上の罪に当たり,非行事実の認定に関し証人尋問等の証拠調べを行うことを決定し,又はこれを行った事件で,少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合である。施行日である平成13年4月1日以降に家庭裁判所に係属した事件において,このような更新決定をすることができる。
     特別更新が行われ,平成13年4月1日から平成16年3月31日までに終局決定のあった人員は155人であり,その内訳は資料7のとおりであり,平均期間は約43日(6週間と1日)である。7週間を超えるもののうち観護措置を取り消して在宅で審理を続けたものが3人いる。

    (資料7)
    事実認定手続の一層の適正化(資料7)
    4週間を超えた観護措置期間の内訳

    ○観護措置決定等に対する異議申立て制度(少年法17条の2,17条の3)
     観護措置決定及び観護措置更新決定に対し,少年,その法定代理人又は付添人から,家庭裁判所に対する異議の申立てができるようになった。
     平成13年4月1日から平成16年3月31日までに異議申立てに対する決定があったものの件数は338件であり,そのうち取り消されたものは24件である。
     申立ての対象となった決定別の内訳は資料8のとおりである。

    (資料8)
    事実認定手続の一層の適正化(資料8)
  4. 保護処分終了後における救済手続の整備(少年法27条の2)
     改正前は,保護処分が終了した後はこれを取り消すことができなかったが,改正後は,保護処分の終了後においても,非行事実が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは,本人が死亡した場合を除き,保護処分を取り消さなければならないこととされた。
     平成13年4月1日から平成16年3月31日までに保護処分終了後の保護処分取消事件について家庭裁判所の終局決定のあった人員は2人であり,うち保護処分が取り消された人員は1人である。

第3 被害者への配慮の充実

(資料9)
被害者への配慮の充実(資料9)
(注)数字はいずれも平成13年4月1日から平成16年3月31日までに家庭裁判所に申し出た人数である。
  1. 事件記録の閲覧及び謄写(少年法5条の2)
     被害者等の申出により,審判の係属中も含め,一定の範囲で非行事実に係る事件記録の閲覧及び謄写をさせることができる制度が導入された。
     資料9のとおり,平成13年4月1日から平成16年3月31日までの事件記録の閲覧又は謄写の申出人数は1730人であり,そのうち1704人が閲覧又は謄写を認められている。
     閲覧又は謄写が認められなかったのは,審判開始決定がされなかったことによるもの,法定の申出資格がない者からの申出であったことによるものなどである。
    (注)申出資格があるのは,被害者又はその法定代理人,被害者が死亡又は心身に重大な故障がある場合にはその配偶者,直系親族,兄弟姉妹,これらの者から依頼を受けた弁護士である。
    閲覧・謄写
  2. 被害者からの意見の聴取(少年法9条の2)
     被害者等の申出により,裁判官又は家庭裁判所調査官が,被害に関する心情その他の事件に関する意見を聴取する制度が導入された。
     資料9のとおり,平成13年4月1日から平成16年3月31日までの意見の聴取の申出人数は513人であり,そのうち496人について意見の聴取が実施されている。
     意見聴取が実施されなかったのは,事件終局後に申出があったことによるもの,法定の申出資格がない者からの申出であったことによるものなどである。
    (注)申出資格があるのは,被害者又はその法定代理人,被害者が死亡した場合にはその配偶者,直系親族,兄弟姉妹である。
    意見聴取
     被害者等の意見聴取の方法は,(1)裁判官が審判期日において聴取する,(2)裁判官が審判期日外で聴取する,(3)家裁調査官が聴取するという3つの方法があるが,聴取方法別の内訳は資料10のとおりである。

    (資料10)
    被害者への配慮の充実(資料10)

    意見聴取方法別
  3. 審判結果等の通知(少年法31条の2)
     被害者等の申出により,家庭裁判所が審判の結果等を通知する制度が導入された。通知する内容は,少年及び法定代理人の氏名及び住居,決定の年月日,主文及び理由の要旨である。
     資料9のとおり,平成13年4月1日から平成16年3月31日までの審判結果等の通知の申出人数は1947人であり,そのうち1932人について通知がされている。
     通知がされなかったのは,法定の申出資格がない者からの申出であったことによるものなどである。
    (注)申出資格があるのは,被害者又はその法定代理人,被害者が死亡又は心身に重大な故障がある場合にはその配偶者,直系親族,兄弟姉妹である。
    結果等通知