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最高裁判所判例集

事件番号

 平成16(受)2226

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成18年11月14日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 集民 第222号167頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成16(ネ)2589

原審裁判年月日

 平成16年9月22日

判示事項

 ポリープ摘出手術を受けた患者が術後に出血性ショックにより死亡した場合につき担当医が追加輸血等を行わなかったことに過失があるとはいえないとした原審の判断に採証法則に反する違法があるとされた事例

裁判要旨

 上行結腸ポリープの摘出手術を受けた患者が,術後9日目に急性胃潰瘍に起因する出血性ショックにより死亡した場合において,患者の相当多量な血便や下血,ヘモグロビン値やヘマトクリット値の急激な下降,頻脈の出現,ショック指数の動向等からすれば,患者の循環血液量に顕著な不足を来す状態が継続し,輸血を追加する必要性があったことがうかがわれ,第1審で提出された医師Aの意見書中の担当医には追加輸血をするなどして当該患者のショック状態による重篤化を防止すべき義務違反があるとする意見が相当の合理性を有することを否定できず,むしろ,原審で提出された医師Bの意見書の追加輸血の必要性を否定する意見の方に疑問があると思われるにもかかわらず,両意見書の各内容を十分に比較検討する手続を執ることなく,医師Bの意見書が提出された原審の第1回口頭弁論期日において口頭弁論を終結した上,医師Bの意見書を主たる根拠として,担当医が追加輸血等を行わなかったことにつき過失を否定し,医師Aの意見書等に基づき担当医の過失を肯定した第1審判決の請求認容部分を取り消した原審の判断には,採証法則に反する違法がある。

参照法条

 民法709条,民訴法247条

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