裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成17(受)957
- 事件名
不当利得返還請求事件
- 裁判年月日
平成19年6月11日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
集民 第224号521頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成16(ネ)3368
- 原審裁判年月日
平成17年2月24日
- 判示事項
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ契約に加盟店は運営者に対し加盟店経営に関する対価として売上高から売上商品原価を控除した金額に一定の率を乗じた額を支払う旨の条項がある場合において消費期限間近などの理由により廃棄された商品の原価等は売上高から控除されないとされた事例
- 裁判要旨
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンを運営する甲とその加盟店の経営者である乙との間の加盟店基本契約の条項中に,乙は甲に対し加盟店経営に関する対価として「売上総利益(売上高から売上商品原価を差し引いたもの)」に一定の率を乗じた額を支払う旨の定めがある場合において,(1)「売上商品原価」という上記文言は,企業会計上一般に言われている売上原価を意味するものと即断することはできないこと,(2)本件契約書の付属明細書には廃棄ロス原価(消費期限間近などの理由により廃棄された商品の原価合計額)及び棚卸ロス原価(帳簿上の在庫商品の原価合計額と実在庫商品の原価合計額の差額であって,万引きや各店舗の従業員の商品等の入力ミスなどを原因として発生した金額)が営業費となることが定められ,甲の担当者は,上記契約が締結される前に,乙に対し,それらは営業費として加盟店経営者の負担であることを説明していたこと,(3)乙が上記契約締結前に甲から店舗の経営委託を受けていた期間中,当該店舗に備え付けられていた手引書の損益計算書についての項目には,「売上総利益」は売上高から「純売上原価」を差し引いたものであり,「純売上原価」は「総売上原価」から「仕入値引高」,「商品廃棄等」及び「棚卸増減」を差し引いて計算されることが記載されていたことなど判示の事情の下では,上記契約条項所定の「売上商品原価」は,実際に売り上げた商品の原価を意味し,廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価を含まないものと解されるから,これらは,乙が支払うべき加盟店経営に関する対価の上記算定に当たり,売上高から控除されない。
(補足意見がある。)
- 参照法条
民法91条
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