裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 平成18(行ヒ)295

事件名

 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日

 平成19年7月6日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 集民 第225号39頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成18(行コ)33

原審裁判年月日

 平成18年6月29日

判示事項

 納税者が平成12年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したことにつき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例

裁判要旨

 納税者が平成12年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したところ,同権利行使益が給与所得に当たるとして増額更正がされた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,納税者が同権利行使益を一時所得として申告し,同権利行使益が給与所得に当たるものとしては税額の計算の基礎とされていなかったことについて,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。
(1) 外国法人である親会社から日本法人である子会社の従業員等に付与されたストックオプションに係る課税上の取扱いに関しては,法令上特別の定めが置かれていないところ,課税庁においては,かつて,上記ストックオプションの権利行使益を一時所得として取り扱い,課税庁の職員が監修等をした公刊物でもその旨の見解が述べられていた。
(2) 課税庁においては,平成10年分の所得税の確定申告の時期以降,上記の課税上の取扱いを変更し,給与所得として統一的に取り扱うようになったが,その変更をした時点では通達によりこれを明示することなく,平成14年6月の所得税基本通達の改正によって初めて変更後の取扱いを通達に明記した。
(3) 上記ストックオプションの権利行使益の所得区分に関する所得税法の解釈問題については,一時所得とする見解にも相応の論拠があった。

参照法条

 国税通則法(平成18年法律第10号による改正前のもの)65条1項,国税通則法65条4項,所得税法28条1項,所得税法34条1項

全文