裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成17(受)1372
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成20年1月28日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
集民 第227号43頁
- 原審裁判所名
札幌高等裁判所
- 原審事件番号
平成14(ネ)368
- 原審裁判年月日
平成17年3月25日
- 判示事項
A銀行が,B社に対して有する無担保債権につきB社から担保を提供する条件として追加融資を求められ,これを実行した場合において,追加融資を決定した取締役らに忠実義務,善管注意義務違反があるとされた事例
- 裁判要旨
A銀行の支店の副支店長が,B社が支払可能残高を超えて振り出した他行を支払銀行とする小切手を交換に回す前に即日入金の上払い戻す処理を繰り返し,その結果,A銀行が,B社に対して約48億円の無担保債権を有することになったことから,その保全を図る目的でB社の所有する不動産の担保提供を受けようとしたところ,B社からその条件として20億円の追加融資を求められ,これを実行した場合において,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,A銀行の取締役らが追加融資を決定したことは,上記無担保債権の存在が判明してから短期間のうちにその対処方針等を決定しなければならないという時間的制約があったとしても,A銀行の取締役としての忠実義務,善管注意義務に違反する。
(1) B社は,別途融資を受けるなどする以外にはA銀行に対する既存の債務を返済する見通しがなかった上,資金繰りが悪化して近日中に不渡りを出すことが危ぶまれる状況にあり,追加融資の使途及び返済の見通しも明らかでなかった。
(2) 担保不動産の評価に関する判断資料は,不動産鑑定士により地上げ途上の物件も含めてすべてを更地として評価されたおよそ実態とかけ離れた評価額及び裏付けのないB社自身による評価額のみであった。
(3) 追加融資決定時において,担保不動産は,確実な担保余力を有することが見込まれる状態にはなかった。
- 参照法条
商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)254条3項,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)254条ノ3,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項5号
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