裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成20(あ)865
- 事件名
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
- 裁判年月日
平成20年11月4日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第62巻10号2811頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
平成20(う)121
- 原審裁判年月日
平成20年4月17日
- 判示事項
1 犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否
2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例
3 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し,提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法
- 裁判要旨
1 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項1号にいう「犯罪行為により得た財産」とは,当該犯罪行為によって取得した財産であればよく,その実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産であっても後に当該犯罪が成立する限り犯罪収益に該当し,その取得につき事実を仮装すれば,同法10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」が成立する。
2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示に当たっては,犯罪行為によって得た財産が同法所定の犯罪収益であることを示せば足り,第1審判決(判文参照)は,同罪の罪となるべき事実の摘示において欠けるところはない。
3 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供する場合,当該提供行為によって提供者が注文者から取得したと認められる金員の全額が「犯罪行為により得た財産」として組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律所定の犯罪収益に該当し,提供者が児童ポルノを提供するに際して同金員の一部を送料として支出したとしても,同法による追徴に当たり,その分を控除して追徴金額を算定すべきではない。
- 参照法条
(1〜3につき) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段 (2につき) 刑訴法335条1項 (3につき) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律13条1項,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律16条1項本文,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項前段
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