裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 昭和63(あ)589

事件名

 殺人、殺人未遂、殺人予備、詐欺、詐欺未遂

裁判年月日

 平成8年9月20日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 刑集 第50巻8号571頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和63年3月11日

判示事項

 死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に当たるとはいい難いとして原判決及び第一審判決が破棄され無期懲役が言い渡された事例

裁判要旨

 保険金を騙取する目的で、暴力団幹部と共謀して殺人予備、殺人未遂、殺人等の罪を犯すなどしたという本件事案の性質や罪質の重大性、一連の犯行は、被告人が発案し暴力団幹部に計画を持ち掛けたのを契機として企図され、実行に移されたもので、被告人は、各被害者に保険を掛けるなどしたほか、直接殺人予備行為をし、保険金を騙取したり保険会社に保険金を支払うよう執ように請求したなど、被告人の果たした役割の重要性等を考慮しても、一連の犯行で殺害されたのは一名であること、被告人が殺人及び殺人未遂の実行行為はもちろん、殺害方法の謀議にも関与していないこと、殺人予備にとどまった当初の一件を除くその後の保険金殺人計画、なかでも最も重大な犯行として死刑が選択された殺人事件の計画についてはむしろ首謀者である暴力団幹部に引きずられていったものであること、被告人には前科がなく、特段の問題行動もなく社会生活を送ってきたこと、暴力団幹部について死刑の判決が確定していることなどを考慮すると、被告人に対し、死刑を選択することがやむを得ないと認められる場合に当たるとはいい難いものがある。

参照法条

 刑法(平成7年法律91号による改正前のもの)11条,刑法(平成7年法律91号による改正前のもの)199条,刑訴法411条2号

全文