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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和32(あ)2125

事件名

 窃盜、同未遂

裁判年月日

 昭和32年11月8日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第11巻12号3061頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和32年6月29日

判示事項

 一 刑法上の占有の意義
二 占有離脱物と認められない一事例

裁判要旨

 一 刑法上の占有は人が物を実力的に支配する関係であつて、その支配の態様は物の形状その他の具体的事情によつて一様ではないが、必ずしも物の現実の所持または監視を必要とするものではなく、物が占有者の支配力の及ぶ場所に存在するを以つて足りる。
二 被害者がバスを待つ間に写真機を身辺約三〇糎の個所に置き、行列の移動に連れて改札口の方に進んだが、改札口の手前約三・六六米の所に来たとき、写真機を置き忘れたことに気づき直ちに引き返したところ、既にその場から持ち去られていたもので行列が動き始めてからその場所に引き返すまでの時間は約五分、写真機を置いた場所と引き返した点との距離は約一九・五八米に過ぎないような場合は、未だ被害者の占有を離れたものとはいえない。

参照法条

 刑法235条,刑法254条

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