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最高裁判所判例集

事件番号

 平成12(行ツ)369

事件名

 徳島県議会野球大会旅費,日当,宿泊料等返還請求事件

裁判年月日

 平成15年1月17日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 民集 第57巻1号1頁

原審裁判所名

 高松高等裁判所

原審事件番号

 平成11(行コ)27

原審裁判年月日

 平成12年9月28日

判示事項

 1 全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加した県議会議員が県に対し旅費相当額の不当利得返還義務を負うとされた事例
2 県議会議長が全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する議員に対して旅行命令を発したことに伴い知事の補助職員がした旅費の支出負担行為及び支出命令が違法ではないとされた事例
3 全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加した県議会議員に随行した県職員が県に対し旅費相当額の不当利得返還義務を負わないとされた事例

裁判要旨

 1 全国都道府県議会議員軟式野球大会に県議会議員が参加することは,同大会の内容が単に議員が野球の対抗試合を行って優勝を競うものにすぎず,他の都道府県議会議員との意見交換や相互交流等の機会は設けられておらず,競技施設の視察等の公式行事も予定されていなかったなど原判示の事実関係の下においては,議員としての職務であるとはいえず,同大会に参加した議員は,県に対し,支給を受けた旅費相当額の不当利得返還義務を負う。
2 県議会議長が平成9年開催の全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する議員に対し発した旅行命令が違法である場合において,同命令を前提として知事の補助職員がした議員に対する旅費の支出負担行為及び支出命令は,同大会が,昭和24年以降,国民体育大会に協賛する趣旨で毎年その時期に合わせて開催され,同62年にはすべての都道府県議会が参加するようになったという歴史を有し,平成9年開催の国民体育大会に協賛するとともに,議員相互の親睦とスポーツ精神の高揚を図り,地方自治の発展に寄与する旨の目的の下に開催されたものであり,全国47都道府県議会から議員1400人余りがこれに参加したなど原判示の事実関係の下においては,財務会計法規上の義務に違反する違法なものということはできない。
3 県議会において全国都道府県議会議員軟式野球大会に議員を派遣することが決定されたことを受けて,県議会事務局職員に対し,議員に随行して実行委員会本部との調整,用具の運搬管理,記録その他の補助業務に当たらせるために,職務命令である旅行命令が発せられたという事実関係の下においては,同命令に重大かつ明白な瑕疵があったとはいえず,同命令に従って議員に随行した職員は,県に対し,支給を受けた旅費相当額の不当利得返還義務を負わない。

参照法条

 地方自治法203条3項,地方自治法(平成11年法律第107号による改正前のもの)204条1項,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号,民法703条,地方公務員法32条

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