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最高裁判所判例集

事件番号

 平成14(受)687

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成16年1月15日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第58巻1号226頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成13(ネ)1165

原審裁判年月日

 平成14年2月6日

判示事項

 1 外国人が国民健康保険法5条所定の「住所を有する者」に該当するかどうかを判断する際の考慮要素
2 我が国に不法に残留している外国人が国民健康保険法5条所定の「住所を有する者」に該当するとされた事例

裁判要旨

 1 外国人が国民健康保険法5条所定の「住所を有する者」に該当するかどうかを判断する際には,在留資格の有無,その者の有する在留資格及び在留期間が重要な考慮要素となり,在留資格を有しない外国人がこれに該当するためには,単に保険者である市町村の区域内に居住しているという事実だけでは足りず,少なくとも,当該外国人が当該市町村を居住地とする外国人登録をして在留特別許可を求めており,入国の経緯,入国時の在留資格の有無及び在留期間,その後における在留資格の更新又は変更の経緯,配偶者や子の有無及びその国籍等を含む家族に関する事情,我が国における滞在期間,生活状況等に照らし,当該市町村の区域内で安定した生活を継続的に営み,将来にわたってこれを維持し続ける蓋然性が高いと認められることが必要である。
2 寄港地上陸許可を得て上陸し,上陸期間経過後も我が国に残留している外国人甲は,出生国での永住資格を喪失し,国籍も確認されない特殊な境遇から,やむなく残留し続けたもので,自ら入国管理局に出頭したにもかかわらず,不法滞在状態を解消することができなかったこと,甲の我が国での滞在期間は約22年間に及んでおり,国民健康保険の被保険者証の交付請求当時の居住地において稼働しながら,約13年間にわたり妻と我が国で出生した2人の子と共に家庭生活を営んできたこと,上記請求前に外国人登録をして在留特別許可を求めていたことなど判示の事情の下においては,国民健康保険法5条所定の「住所を有する者」に該当する。
(1,2につき意見がある。)

参照法条

 国民健康保険法5条,国民健康保険法7条,出入国管理及び難民認定法(平成11年法律第135号による改正前のもの)24条,出入国管理及び難民認定法2条の2,出入国管理及び難民認定法20条,出入国管理及び難民認定法21条,出入国管理及び難民認定法50条

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