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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和33(オ)538

事件名

 解職処分取消請求

裁判年月日

 昭和34年6月26日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第13巻6号846頁

原審裁判所名

 仙台高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和33年2月26日

判示事項

 一 公務員の退職願の撤回が許される時期
二 教育長と教育公務員の退職願およびその撤回の意思表示の受領権限
三 公務員の退職願の撤回が有効とされた事例

裁判要旨

 一 公務員の退職願の撤回は、免職辞令の交付があるまでは、原則として自由であるが、辞令交付前においても、これを撤回することが信義に反すると認められるような特段の事情がある場合には、撤回は許されないものと解すべきである。
二 教育長は、教育委員会の補助機関として教育公務員の退職願およびその撤回の意思表示を受領する権限を有する。
三 公務員の退職願の撤回が免職辞令の交付前になされた場合において、右退職願の提出が提出者本人の都合に基き進んでなされたものではなく五五歳以上の者に勇退を求めるという任免権者の都合に基く勧告に応じてなされたものであり、撤回の動機も五五歳以上の者で残存者があることを聞き及んだことによるもので、あながちとがめ得ない性質のものであるという事情があり、しかも撤回の意思表示が右聞知後遅怠なく退職願の提出は後一週間足らずの間になされており、その時には、すでに任免権者の側で退職承認の内部的決定がなされていたとはいえ、本人が退職の提出前に右事情を知つていたとは認められないのみならず、任免権者の側で、本人の自由意思を尊重する建前から撤回の意思表示につき考慮し善処したとすれば、爾後の手続の進行による任免権者の側の不都合は十分避け得べき状況にあつたと認められるような事情がある場合には、退職願を撤回することが信義に反すると認むべき特段の事情があるものとは解されないから、右撤回は有効と認むべきである。

参照法条

 民法1条,教育委員会法(昭和23年法律170号)52条の3,地方教育行政の組織及び運営に関する法律17条

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