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事件番号
 昭和24(れ)856
事件名
 偽造公文書行使、公文書偽造、詐欺、収賄
裁判年月日
 昭和25年2月28日
法廷名
 最高裁判所第三小法廷
裁判種別
 判決
結果
 破棄自判
判例集等巻・号・頁
 刑集 第4巻2号268頁
原審裁判所名
 名古屋高等裁判所  金沢支部
原審事件番号
原審裁判年月日
 昭和24年2月15日
判示事項
 一 刑法第七條にいわゆる公務員の意義
二 戰災復興院特別建設出張所處務規程第二條にいわゆる雇員と公務員
三 公務員の職務執行と密接な關係にある行爲に對する金品の收受と賄賂罪の成立
四 追徴金額について主文と理由との間に齟齬ある判決の違法
五 公務員による公文書僞造罪の成否
裁判要旨
 一 按ずるに刑法第七條にいわゆる公務員は官制職制によつて其職務權限が定まつているものに限らずすべて法令によつて公務に從事する職員を指稱するものであつて其法令中には單に行政内部の組織作用を定めた訓令と雖も抽象的の通則を規定しているものであれば之を包含するものであることは大審院判例の示すところであつて、今之れを改むべき理由を認めない、(大審院大正五年(れ)第二一七九號大正五年一一月六日刑事二部判決、大正八年(れ)第一八〇八號、大正九年一二月一〇日刑事一部判決)
二 昭和二〇年一一月五日勅令大六二一號戰災復興院官制第二條に戰災復興院に左の職員を置くと規定し總裁次長、局長、營繕技監、事務官、理事官、技師屬技師を舉げているのみで雇員を舉げていないことは所論の通りである。しかし昭和二三年三月一五日戰災復興院訓令第一號戰災復興院特別建設出張所處務規程第二條は所長は戰災復興院總裁の指揮監督を受け所務を掌理するとあり、同第三條には所長は雇員以下の任免を専行することができると規定している點に鑑みるときは、雇員たる身分を有し、建設資村需要者割當證明書を發行することを擔當していた被告人は、刑法第七條に所謂公務員であるといわなまればならない。論旨は被告人は些末な機械的事務を擔當していたもので何等智能的創意を要する事務を擔當していないから其擔當事務の性質から見ても公務員といえないと主張する。しかし原審の認定した事實によれば被告山の擔當事務は先きに説明した通り單純な機械的肉体的の勞働ではなく、普通に所謂精神的勞働に屬する一般事務と見るべきであるから仕事の性質から見て公務員でないということは當を得ない。
三 論旨は被告人が判示の如く板硝子割當證明書が多く判示Aの店にまわる様に仕向けたことは被告人が戰災復興院B出張所雇として實際擔當していた職務とは何等關係なく從つて被告人が判示Aから判示のような饗應を受けたとしても其職務に關し賄賂を收受したことにはならないと主張する。なるほど判示板硝子割當證明書を所持している者が或特定の店舗から板硝子を買受けるように仕向けることは厳密にいえば其職務の範圍に屬するものとはいい得ないであらう、しかし被告人が權限に屬する職務執行に當其職務執行と密接な關係を有する行爲を爲すことにより相手方より金品を收受すれば賄賂罪の成立をさまたげるものではない、從つて論旨は理由がない。
四 原判決は被告人が判示Aから(一)昭和二二年一〇月中旬から同年一一月初旬までの間三回に亘り一人分合計一五三五圓に相當する酒食の饗應を受け(二)同年一一月二九日から一二月一日までの間に一人分六〇二五圓に相當する酒食遊興等の饗應を受けたことを判示しその擬律において判示收受した賄賂はこれを没收することができないから其價格を追徴する旨を説示している點から見て右金額を被告人から追徴したものであることが認められる、然るに右金額は合計七五六〇圓であることは算數上明らかであるに拘わらず原判決は被告人に對し金七五六〇圓より一〇〇圓多い七六六〇圓の追徴を主文において言渡しているもので正しく本來追徴し得るべき額より過大な金額を追徴したことになり原判決は主文と理由との間に齟齬があるから論旨は理由がある。
五 行使の目的を以て、作成權限がないにかかわらず公務所亦は公務員の印章若くは署名を冒用して公務所亦は公務員の作るべき文書を作成すれば、たとえ該文書を作成した者が公務員であつても刑法第一五九條第一項の罪が成立する。
参照法条
 刑法7條,刑法197條1項,刑法19條の2,刑法155條1項,昭和20年勅令第621號戰災復興院官制2條,昭和23年戰災復興院訓令1號戰災復興院特別建設出張所庶務規程2條,昭和23年戰災復興院訓令1號戰災復興院特別建設出張所庶務規程3條刑法7條,舊刑訴法410條19號
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