裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和26(れ)347
- 事件名
強盗傷人、窃盗
- 裁判年月日
昭和26年7月13日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第5巻8号1437頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年12月28日
- 判示事項
一 窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思
二 窃盗犯人に不正領得の意思が認められる一事例
三 強盗傷人と窃盗の二罪を構成する例
- 裁判要旨
一 そもそも、刑法上窃盗罪の成立に必要な不法領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいうのであつて、永久的にその物の経済的利益を保持する意思であることを必要としないのであるから、被告人等が対岸に該船を乗り捨てる意思で前記肥料船に対するAの所持を奪つた以上、一時的にも該船の権利を排除し終局的に自ら該船に対する完全な支配を取得して所有者と同様の実を挙げる意思即ち右にいわゆる不正領得の意思がなかつたという訳にはゆかない。
二 被告人等が本件強盗傷人の罪を犯す当時には未だ本件窃盗を犯す意思は全然なく、右強盗傷人が既遂となり逃走の途中偶然の機会において新たに本件窃盗の犯意を生じたものであることは原判決挙示の証拠上疑いのないところであるばかりでなく、それらの行為自体からみても、はた又被害法益の点からみても、本件強盗傷人と窃盗の二罪を構成し、所論のように単一の犯罪を構成するものと認めるべきでないことは多言を要しないところである。
- 参照法条
刑法235条,刑法236条
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