裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成10(行ツ)86
- 事件名
建物収去土地明渡等,損害賠償等請求事件
- 裁判年月日
平成14年10月15日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
集民 第208号157頁
- 原審裁判所名
仙台高等裁判所
- 原審事件番号
平成8(行コ)16
- 原審裁判年月日
平成9年11月26日
- 判示事項
1 賃貸借契約の締結についての住民監査請求期間の始期
2 賃貸借契約の締結の日から1年を経過して住民監査請求がされたことについて地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由があるとはいえないとされた事例
3 契約に基づく債務の履行を求める代位請求住民訴訟及び同債務の履行遅滞に基づく遅延損害金の支払を求める代位請求住民訴訟の適否
4 住民訴訟において上告審が原判決を破棄し第1審判決を取り消して上告人及び上告しなかった共同訴訟人の訴えを却下する場合における訴訟費用の負担の裁判
- 裁判要旨
1 賃貸借契約の締結を対象とする住民監査請求においては,契約締結の日を基準として地方自治法242条2項本文の規定を適用すべきである。
2 市有地の賃貸借契約の締結について住民監査請求がされた場合において,その締結に至る事実経過が逐一新聞報道され,同監査請求の請求人が,その入手した市の内部資料により上記契約における権利金及び賃料の算定根拠を知ることができ,これに基づいて自ら不動産鑑定士として監査請求の64日前に上記権利金及び賃料が適正な額より低いとする旨の意見書を作成したなど判示の事実関係の下においては,監査請求が上記契約の締結の日から1年を経過した後にされたことについて地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由があるとはいえない。
3 普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の締結した契約に基づく債務の履行をその相手方に対して求める代位請求住民訴訟は,地方自治法242条の2第1項4号(平成14年法律第4号による改正前のもの)所定のいずれの請求にも当たらない不適法な訴えであるが,同債務の履行遅滞に基づく遅延損害金の支払を上記相手方に対して求める代位請求住民訴訟は,同項4号所定の怠る事実に係る相手方に対する損害賠償の請求に当たる適法な訴えである。
4 複数の者が共同訴訟人として提起した住民訴訟において,請求を棄却すべきものとした原判決を不服として共同訴訟人の一部が上告した場合に,上告審は,原判決を破棄し第1審判決を取り消して上告人及び上告しなかった共同訴訟人の訴えを却下するときは,上告人と被上告人との間において生じた訴訟の総費用についてのみ負担の裁判をすべきである。
- 参照法条
地方自治法242条2項,地方自治法242条の2第1項(平成14年法律第4号による改正前のもの),地方自治法242条の2第1項4号(平成14年法律第4号による改正前のもの),民訴法40条1項,民訴法67条2項
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