裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成11(行ヒ)169
- 事件名
所得税更正処分取消等請求事件
- 裁判年月日
平成16年7月20日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
集民 第214号1071頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成9(行コ)70
- 原審裁判年月日
平成11年5月31日
- 判示事項
同族会社の出資者が同会社に対してした無利息貸付けに所得税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)157条の規定を適用されて所得税の増額更正を受けた場合において利息相当分を更正前の税額の計算の基礎としなかったことにつき国税通則法65条4項にいう正当な理由があるとは認められないとされた事例
- 裁判要旨
法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)2条10号に規定する同族会社に当たる有限会社の代表者で出資持分の大半を有する社員が,同会社に対して3455億円を超える金員を無利息,無期限,無担保で貸し付けたことに所得税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)157条の規定を適用され,利息相当分の雑所得があるとして所得税の増額更正を受けた場合において,上記貸付けは,不合理,不自然な経済活動であって,上記社員が経営責任を果たすために実行したとは認め難いものであること,税務当局に寄せられた相談事例及び職務執行の際に生じた疑義についての回答及び解説を国税局職員が編集又は監修をした解説書には,会社へ無利息貸付けをした代表者個人に所得税が課されることはない旨の記述があり,上記社員の顧問税理士等の税務担当者において税務当局が個人から法人への無利息貸付けに所得税を課さない旨の見解を採るものと解したため,前記利息相当分の雑所得はないとする申告がされたが,上記記述は,代表者の経営責任の観点から無利息貸付けに社会的,経済的に相当な理由があることを前提とするものであることなど判示の事情の下においては,前記利息相当分が更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて国税通則法65条4項にいう正当な理由があるとは認められない。
- 参照法条
国税通則法65条4項,所得税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)157条,法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)2条10号
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