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最高裁判所判例集

事件番号

 平成13(行ヒ)40

事件名

 県職員野球観戦旅費返還請求事件

裁判年月日

 平成17年3月10日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 集民 第216号357頁

原審裁判所名

 福岡高等裁判所

原審事件番号

 平成12(行コ)17

原審裁判年月日

 平成12年10月26日

判示事項

 1 全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する県議会議員の応援等の用務を目的として県職員に対して発せられた旅行命令が違法であるとされた事例
2 全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する県議会議員の応援等の用務を目的として県職員に対する旅行命令が発せられたことに伴い県財務会計職員がした旅費の支出命令が違法ではないとされた事例

裁判要旨

 1 平成9年開催の全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する県議会議員を応援する用務及び県外に所在する県の機関において訓示する用務を目的として県総務部長等に対して発せられた旅行命令は,同大会が対抗形式により野球の試合を行うものであって,参加議員と応援職員との交流や意見交換の機会も設けられていなかったこと,上記訓示が同大会の前日午後5時から約4.5分間上記機関の職員に対して行われたものであって,その用務は出張の付随的な目的にすぎず,そのためにわざわざ旅行する合理的な必要性があったということはできないことなど判示の事情の下においては,裁量権の行使に逸脱又は濫用があるものとして違法である。
2 平成9年開催の全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する県議会議員の応援等の用務を目的として県総務部長等に対して発せられた旅行命令が違法である場合において,同旅行命令を前提として県財務会計職員がした旅費の支出命令は,当該財務会計職員に上記旅行命令を是正する権限がなかったこと,県総務部長が例年同大会に参加する議員の応援に赴いていたこと,上記旅行命令が県外に所在する県の機関において訓令の遵守を徹底するために訓示するという県総務部長の職務に属する用務も目的として発せられたことなど判示の事情の下においては,財務会計法規上の義務に違反する違法なものということはできない。

参照法条

 地方公務員法32条,地方自治法(平成11年法律第107号による改正前のもの)204条1項,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号

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