裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和56(オ)1094
- 事件名
売掛金
- 裁判年月日
昭和61年9月11日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集民 第148号445頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
昭和53(ネ)2478
- 原審裁判年月日
昭和56年7月29日
- 判示事項
一 商法二四五条一項一号の営業譲渡契約が株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合と譲受人がする右の無効の主張
二 営業譲渡契約が譲受会社にとつて商法一六八条一項六号にいう財産引受に当たるのに原始定款に記載しなかつたことにより無効であるとの主張が信義則に反し許されないとされた事例
三 商法二四五条一項一号の営業譲渡契約が株主総会の特別決議を経ていないことにより無効であるとの譲受人の主張が信義則に反し許されないとされた事例
- 裁判要旨
一 商法二四五条一項一号の営業譲渡契約が譲渡会社の株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合には、譲受人もまた右の無効を主張することができる。
二 営業譲渡契約が譲受会社にとつて商法一六八条一項六号にいう財産引受に当たるのに、これを譲受会社の原始定款に記載しなかつたことにより無効である場合であつても、譲渡人が営業譲渡契約に基づく債務をすべて履行済みであり、譲受会社も営業譲渡契約が有効であることを前提に譲渡人に対し自己の債務を承認して譲受代金の一部を履行し、譲り受けた製品、原材料等を販売又は消費し、しかも、譲受会社は契約後約九年を経て初めて右の無効の主張をするに至つたもので、その間、譲受会社の株主や債権者等が営業譲渡契約の効力の有無を問題にしたことがなかつたなど判示の事情があるときは、譲受会社が営業譲渡契約の無効を主張することは、信義則に反し、許されない。
三 商法二四五条一項一号の営業譲渡契約が譲渡会社の株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合であつても、譲渡会社が営業譲渡契約に基づく債務をすべて履行済みであり、譲受人も営業譲渡契約が有効であることを前提に譲渡会社に対し自己の債務を承認して譲受代金の一部を履行し、譲り受けた製品、原材料等を販売又は消費し、しかも、譲受人は契約後約二〇年を経て初めて右の無効の主張をするに至つたもので、その間譲渡会社の株主や債権者等が営業譲渡契約の効力の有無を問題にしたことがなかつたなど判示の事情があるときは、譲受人が営業譲渡契約の無効を主張することは、信義則に反し、許されない。
- 参照法条
商法168条1項6号,商法245条1項1号,民法1条2項
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