裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成8(オ)280
- 事件名
新株発行無効
- 裁判年月日
平成10年7月17日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
集民 第189号395頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成6(ネ)3746
- 原審裁判年月日
平成7年10月25日
- 判示事項
商法二八〇条ノ三ノ二に定める公告又は通知を欠く新株発行につき著しく不公正な方法によるものではないとはいえず無効原因があるとされた事例
- 裁判要旨
株式会社甲が商法二八〇条ノ三ノ二に定める公告又は通知を欠いたまま新株を発行した場合において、それにより、代表取締役戊の姉乙、その夫である監査役丙、同人が代表取締役を務める株式会社丁ら合計すれば当時甲の発行済株式の総数の過半数を所有していた株主らの持株が過半数を割り込むことになり、他方、戊の持株は過半数を上回ることになって、甲に対する支配関係が逆転するものであり、戊は右新株発行について甲の取締役に他言しないように頼んでおり、右新株発行が取締役会で決議されたのは、商法の一部を改正する法律(平成二年法律第六四号)の施行日の直前であって、もし右施行日後に右決議がされていれば、株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定款の定めのある甲の株主乙らは新株引受権を有することになったはずである上、新株の払込期日は右決議の約二箇月も先の日と定められ、甲が右決議の当時、資金を緊急に調達する必要があったとはいい難いなど判示の事情の下においては、右新株発行は商法二八〇条ノ一〇所定の「著シク不公正ナル方法」によるものではないとは到底いえず、差止の事由がないとは認められないから、右新株発行には無効原因がある。
- 参照法条
商法280条ノ3ノ2,商法280条ノ10,商法280条ノ15
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