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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和43(オ)717

事件名

 建物収去土地明渡請求

裁判年月日

 昭和45年3月26日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第98号505頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和41(ネ)293

原審裁判年月日

 昭和43年4月9日

判示事項

 契約を解除した当事者が第三者の登記の欠缺を主張することが信義則上許されないとされた事例

裁判要旨

 甲所有の丁土地と乙所有の戊土地とを交換する契約が甲乙間になされ、乙が丁土地をさらに丙に譲渡して未だその登記を経ない間に、乙に対する国税の滞納処分として戊土地が差押公売されたため、甲が履行不能を理由に右交換契約を解除した場合において、甲が、交換契約に基づき戊土地を自ら使用しており、他方右契約当時においても丁土地が乙から丙に譲渡されるものであることを了承し、丙の買受後にはその権利移転を認め、丙の地上の建物の建築許可申請手続に協力し、乙、丙との間に、丁土地につき甲から丙に中間省略により直接所有権移転登記をすることを合意しながら、乙、丙の再三の請求にかかわらず自己の都合で右登記手続を遷延して約四年を経過するうち、右滞納処分がなされるに至つたなど、判示の事実関係があるときは、甲が丙の丁土地の所有権取得につき登記の欠缺を主張することは信義則上許されず、甲の交換契約解除にかかわらず丙の権利は否定されないものと解すべきである。

参照法条

 民法545条1項,民法177条,民法1条2項

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