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最高裁判所判例集

事件番号

 平成10(オ)529

事件名

 受刑者接見妨害国家賠償請求事件

裁判年月日

 平成12年9月7日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 集民 第199号371頁

原審裁判所名

 高松高等裁判所

原審事件番号

 平成8(ネ)144

原審裁判年月日

 平成9年11月25日

判示事項

 一 受刑者とその訴訟代理人である弁護士との接見の許可につき刑務所長が接見時間を三〇分以内に制限したことが裁量の範囲内であるとされた事例
二 受刑者とその訴訟代理人である弁護士との接見の許可につき刑務所長が刑務所職員の立会いを条件としたことが裁量の範囲内であるとされた事例

裁判要旨

 一 受刑者の提起した民事訴訟事件における右受刑者の訴訟代理人である弁護士が,本人尋問の準備等のために必要であるとして三〇分を超える接見の許可を申請したのに対し,接見時間を三〇分以内に制限して接見を許可した刑務所長の処分は,右受刑者には親族との接見とは別に訴訟代理人である弁護士との間で原則として月二回の接見が許可されており,他方,当該刑務所は多数の長期刑の受刑者を収容していて接見業務が繁忙で,申請どおりの接見を許可した場合には他の受刑者との間の処遇の公平を害し,接見業務に支障が生ずるおそれがあったなど判示の事情の下においては,刑務所長の裁量権の範囲を逸脱し,又は,これを濫用したものとはいえない。
二 受刑者が収容先の刑務所保安課職員に暴行を加えられたこと等を理由として提起した国家賠償請求事件における右受刑者の訴訟代理人である弁護士が,事実調査等のためとして刑務所職員の立会いなしの接見の許可を申請したのに対し,刑務所職員の立ち会いを条件として接見を許可した刑務所長の処分は,右受刑者が,客観的にはその様な事実を認め難いにもにもかかわらず,正常な姿勢で座れないなどと主張して,居房内において床に転ぶような姿勢を長時間にわたって続け,また,職員に対して反抗的な態度を継続して度々懲罰処分を受けており,不測の事故を防止するなどのため刑務所職員を接見に立ち会わせる必要性が特に大きかったなど,判示の事情の下においては,刑務所長の裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとはいえない。
(一,二につき反対意見がある。)

参照法条

 監獄法45条,監獄法50条,監獄法施行規則121条,監獄法施行規則124条,監獄法施行規則127条1項,監獄法施行規則127条3項

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