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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和43(オ)749

事件名

 建物収去土地明渡請求

裁判年月日

 昭和44年1月31日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第94号143頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和40(ネ)1203

原審裁判年月日

 昭和43年4月26日

判示事項

 一、地上建物の譲渡および担保権の設定等を禁ずる特約の違反を理由とする土地賃貸借契約解除の要件

二、借地契約における新たな工作物の建設を制限する特約と契約解除の要件

裁判要旨

 一、土地の賃貸借契約において、賃借人が賃借権もしくは賃借地上の建物を譲渡し、賃借物を転貸しまたは右建物に担保権を設定しようとするときには賃貸人の承諾を得ることを要し、これに違反したときは賃貸人が賃貸借契約を解除することができる旨の特約があるにもかかわらず、賃借人が賃貸人の承諾を得ないで右特約所定の行為をした場合でも、賃貸人と賃借人との間の信頼関係を破壊するに足りない特段の事情があると認められるときは、賃貸人は、右特約に基づき賃貸借契約を解除することができない。

二、建物所有を目的とする土地の賃貸借契約において、賃借人が新たに賃借地上に工作物を建設しようとするときにはあらかじめ賃貸人の承諾を得ることを要し、これに違反したときは賃貸人が賃貸借契約を解除することができる旨の特約があるにもかかわらず、賃借人が賃貸人の承諾を得ないで新たな建物を建築した場合でも、その建築が土地の通常の利用上相当であり、賃貸人に著しい影響を及ぼさないため、賃貸人に対する信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りないときは、賃貸人は、右特約に基づき賃貸借契約を解除することができない。

参照法条

 民法612条,民法601条,借地法1条

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