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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和53(オ)1436

事件名

 損害賠償

裁判年月日

 昭和58年12月6日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 集民 第140号573頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和52(ネ)1966

原審裁判年月日

 昭和53年9月28日

判示事項

 市の道路用地買収過程において買収交渉事務担当の課長が買収交渉の相手方に対し市が買収ずみの道路用地のうち道路敷地に供しない特定の残地を他に優先者のない限り払下げる旨の説明をし右相手方が右残地払下げを期待して当該買収対象土地の売買に応じたがその後の事情によつて右相手方に当該残地の払下げがされなかつたことが市の不法行為とはならないとされた事例

裁判要旨

 市の道路用地買収交渉過程において、買収交渉事務担当の都市計画課長が、買収交渉の相手方に対して、市が買収ずみの土地のうち道路敷地に供しない特定の残地につき、他に優先者のない限り、将来これを右相手方に払い下げる、市長の承諾も得ている旨の説明をし、右相手方は右残地の払下げを期待して、当該買収対象土地の売買に応じた場合であつても、右課長には売買契約締結権限はなく、しかも、右課長が道路敷地残地の払下げ特約を売買契約書に明記するようにとの相手方の申出を市議会との関係上できないとしてこれを拒否し、もとより右残地部分の売買予約がされたり、右残地部分の払下げが右買収対象土地の売買の条件とされたものではないなど、判示の事実関係のもとにおいては、その後市が、他の買収対象者からの要望によりその者の所有土地を道路用地として獲得する手段としてこれと右残地とを交換し、右残地を前記売買契約の相手方に払下げなかつたとしても、右市の所為は、違法性がなく、不法行為とならない。

参照法条

 民法709条,民法715条

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