裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 平成5(行ツ)141

事件名

 不当労働行為救済命令取消

裁判年月日

 平成7年4月14日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 集民 第175号23頁

原審裁判所名

 高松高等裁判所

原審事件番号

 平成3(行コ)4

原審裁判年月日

 平成5年6月22日

判示事項

 併存する企業内組合の一つが使用者の提案する賃金計算方法の変更を承認しないことを理由に使用者が右組合との間で労働基準法三六条所定の協定を締結することを拒否しその組合員の時間外労働を禁止している行為が労働組合法七条一号及び三号の不当労働行為に当たらないとされた事例

裁判要旨

 従来、時間外割増賃金及び深夜割増賃金を含むとの認識の下に水揚高に一定率を乗じた歩合による賃金を支払っていた使用者が、労働基準監督署から割増賃金部分を明確にするよう指導を受けたため、水揚高に従前の率を若干下回る率を乗じた金額を基礎給としこれに時間外割増賃金及び深夜割増賃金を加算して支払うことを内容とする賃金計算方法を採用することを企業内に併存する甲乙二つの労働組合に提案したのに対し、甲組合はこれを承認したが、乙組合はこれを拒否し、水揚高に従来どおりの率を乗じた金額を基礎給としこれに時間外割増賃金及び深夜割増賃金を加算して支払うことを要求し続けていた場合において、使用者が、乙組合との団体交渉の結果、同組合との間で労働基準法三六条所定の協定を締結することを拒否し、乙組合員の時間外労働を禁止している行為は、使用者が、まず甲組合とのみ右提案及び右協定の締結について協議を行って合意を成立させ、乙組合とは何ら協議を行うことなく乙組合員の時間外労働を禁止し、その五日後に初めて団体交渉を行ったもので、右団体交渉においては、甲組合と合意に達した労働条件を受諾するように求め、これをもって譲歩の限度とする強い態度を示したなど判示の事情があっても、使用者の右団体交渉における主張の主な意図が乙組合の団結権の否認ないし弱体化にあり団体交渉が形式的に行われたにすぎないものと認められる特段の事情があるとはいえず、労働組合法七条一号及び三号の不当労働行為に当たらない。

(反対意見がある。)

参照法条

 労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)36条,労働基準法(平成5年法律第79号による改正前のもの)37条1項,労働組合法7条1号,労働組合法7条3号

全文