裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成21(受)1168
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成22年3月25日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
民集 第64巻2号562頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所
- 原審事件番号
平成20(ネ)886
- 原審裁判年月日
平成21年3月5日
- 判示事項
金属工作機械部分品の製造等を業とするX会社を退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなく退職した従業員において,別会社を事業主体として,X会社と同種の事業を営み,その取引先から継続的に仕事を受注した行為が,X会社に対する不法行為に当たらないとされた事例
- 裁判要旨
金属工作機械部分品の製造等を業とするX会社を退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなく退職した従業員において,別会社を事業主体として,X会社と同種の事業を営み,その取引先から継続的に仕事を受注した行為は,それが上記取引先の営業担当であったことに基づく人的関係等を利用して行われたものであり,上記取引先に対する売上高が別会社の売上高の8〜9割を占めるようになり,X会社における上記取引先からの受注額が減少したとしても,次の(1),(2)など判示の事情の下では,社会通念上自由競争の範囲を逸脱するものではなく,X会社に対する不法行為に当たらない。
(1) 上記従業員は,X会社の営業秘密に係る情報を用いたり,その信用をおとしめたりするなどの不当な方法で営業活動を行ったものではない。
(2) 上記取引先のうち3社との取引は退職から5か月ほど経過した後に始まったものであり,残りの1社についてはX会社が営業に消極的な面もあったのであって,X会社と上記取引先との自由な取引が阻害された事情はうかがわれず,上記従業員においてその退職直後にX会社の営業が弱体化した状況を殊更利用したともいえない。
- 参照法条
民法709条
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