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最高裁判所判例集

事件番号

 平成21(行フ)3

事件名

 文書提出命令に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

裁判年月日

 平成22年4月12日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 集民 第234号1頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

 平成21(行ス)2

原審裁判年月日

 平成21年9月30日

判示事項

 名古屋市議会の会派が市から交付された政務調査費を所属議員に支出する際に各議員から諸経費と使途基準中の経費の項目等との対応関係を示す文書として提出を受けた報告書及びこれに添付された領収書が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとされた事例

裁判要旨

 名古屋市議会の会派が市から交付された政務調査費を所属議員に支出する際に各議員から諸経費と使途基準中の経費の項目等との対応関係を示す文書として提出を受けた報告書及びこれに添付された領収書は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たる。
(1) 名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)の委任を受けた名古屋市会政務調査費の交付に関する規則(平成13年名古屋市規則第11号)は,会派の経理責任者に政務調査費の支出について会計帳簿の調製及び領収書等の証拠書類の整理並びにこれらの書類の保管を義務付けているが,上記条例及び規則の規定上,上記各書類は,専ら各会派の内部にとどめて利用すべき文書であることが予定されている。当該報告書は,当該会派が独自に使用しているもので,せいぜい上記規則所定の証拠書類に該当し得るにとどまり,これに添付された領収書は,上記規則所定の領収書に該当する。
(2) 当該報告書及びこれに添付された領収書は,個々の政務調査費の支出について,当該支出に係る調査研究活動をした議員の氏名,当該議員が用いた金額やその使途,主な調査内容等が具体的に記載されるものである上,調査研究活動に協力するなどした第三者の氏名等が記載されているがい然性が高いものである。
(反対意見がある。)

参照法条

 民訴法220条4号ニ,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)100条13項,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)100条14項,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)4条,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)5条1項,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)6条,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)8条1項,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)8条2項,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)別記様式,名古屋市会政務調査費の交付に関する規則(平成13年名古屋市規則第11号)6条2項,名古屋市会政務調査費の使途基準及び収支報告書の閲覧に関する規程(平成13年名古屋市会達第1号)2条,名古屋市会政務調査費の使途基準及び収支報告書の閲覧に関する規程(平成13年名古屋市会達第1号)別表

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