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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和42(う)1926

事件名

 猥褻図画公然陳列被告事件

裁判年月日

 昭和44年9月17日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第七刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第22巻4号595頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 映倫審査を通過した映画の上映についてわいせつ性を認めた一事例
(いわゆる映画「黒い雪」事件)
二、 映画のわいせつ性を判断するにさいし文書のそれと対比してとくに
考慮すべき事項
三、 わいせつ映画の上映について犯意を欠く一事例

裁判要旨

 一、 判文(六〇〇頁三行目ないし六〇六頁一六行)参照
二、 映画のわいせつ性を判断するには、映画の上映が観覧者に及ぼす現実感、感銘、印象、それによる心理的影響等が、文書に比して極めて直接的であり、かつ、無学、年少の者でも容易にこれを感受しうるものであることをとくに考慮すべきである。
三、 映画が刑法上のわいせつ図画にあたるものであつても、その映画が映倫の審査を通過したものであり、かつ、映倫制度発足以来約十六年にして、多数の同種映画の中からはじめて公訴の提起がなされたものである場合においては、映倫制度発足の趣旨、同制度に対する社会的評価並びに制作者その他の上映関係者の心情等(判文参照)諸般の事情にかんがみ、右上映関係者が上記映画の上映について、それが法律上許容されたものと信ずるにつき相当の理由があり、わいせつ図画公然陳列罪の犯意を欠くものと解するのが相当である。

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