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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和62(ネ)268

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成7年1月23日

裁判所名・部

 仙台高等裁判所  第二民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第48巻1号1頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 事実上競合して申請された国有林野内のリフト架設につき営林署長がその一方に加担し貸付権限を濫用して差別的取扱をしたとされた事例
二 右差別的取扱により生じた逸失利益の算定方法

裁判要旨

 一 県境に跨る地域の相近接した場所にリフトを建設しようとした甲社がA営林署に、同じく乙社が隣接のB営林署それぞれ国有林野の貸付申請をした場合に、A営林署長らが乙社を支援しこれに協力す意図の下に、両社の申請区域が共に隣接B営林署の管轄内にあることにしようとして、それまで県境に関して特に紛争がなかったにもかかわらず、しかも地方自治法所定の紛争解決手続を経ずに、営林署部内で検測した結果のみに依拠して、従来県境とされてきた線とは別の線をあたかも定まった境界であるかのようにして行政上の措置を強行したなど、判示の事実関係の下においては、A営林署長らは甲社に対して貸付権限の濫用による拒否や妨害をしたというべきであり、差別的取扱として違法な公権力の行使に該る。
二 右差別的取扱により開業が遅れた期間中の逸失利益は、先駆した乙社が右期間中現実に得た収益を基礎とし、双方の事業経験や集客力等を勘案して算定するのが相当である。

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