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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成27(う)1872

事件名

 窃盗,建造物侵入被告事件

裁判年月日

 平成28年8月23日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第4刑事部

結果

 破棄自判

高裁判例集登載巻・号・頁

 第69巻1号16頁

原審裁判所名

 さいたま地方裁判所

原審事件番号

 平成27(わ)241

判示事項

 警察官らが,相手が警察官であることを認識していない被告人に対し,そのDNA型検査の資料を得るため,紙コップを手渡してお茶を飲むように勧め,そのまま廃棄されるものと考えた被告人から同コップを回収し,唾液を採取した行為につき,強制処分に該当し,違法であるとされた上,同行為及びこれに引き続く一連の手続には重大な違法があるなどとして,逮捕後に任意提出された口腔内細胞のDNA型鑑定に関する鑑定書の証拠能力が否定された事例

裁判要旨

 警察官らが,身柄を拘束されておらず,相手が警察官であることを認識していない被告人に対し,そのDNA型検査の資料を得るため,紙コップを手渡してお茶を飲むように勧め,そのまま廃棄されるものと考えた被告人から同コップを回収し,唾液を採取した本件行為は,合理的に推認される被告人の黙示の意思に反して個人識別情報をむやみに捜査機関によって認識されないという重要な利益を侵害しており,強制処分に該当し,令状によることなくされた本件行為は違法である上,本件行為及びこれに引き続く一連の手続(判文参照)には,令状主義の精神を没却する重大な違法があり,逮捕後に任意提出された口腔内細胞のDNA型に関する本件鑑定書を証拠として許容することは将来における違法捜査の抑制の見地から相当でなく,本件鑑定書は違法収集証拠として証拠能力を否定すべきである。

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