裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成8(行ウ)4

事件名

 消費税更正処分取消請求事件

裁判年月日

 平成9年5月27日

裁判所名

 福岡地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 建築した建物を土地と一括譲渡した場合の課税仕入れに係る消費税額の控除税額を一括比例配分方式により計算して確定申告をした後,計算方法の誤りを理由として個別対応方式による計算に基づいてした更正の請求に対し,一括比例配分方式を適用してした消費税の更正の一部取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 建築した建物を土地と一括譲渡した場合の課税仕入れに係る消費税額の控除税額を一括比例配分方式により計算して確定申告をした後,計算方法の誤りを理由として個別対応方式による計算に基づいてした更正の請求に対し,一括比例配分方式を適用してした消費税の更正の一部取消請求につき,建物を建築して売却することに伴い土地の売買もする事業者の前記控除税額の計算方法として一括比例配分方式を選択することは,課税売上げである建物の売上げに対応する課税仕入れに係る消費税を非課税売上げである土地の売上げにも比例配分する結果となるが,これは一括比例配分方式を適用した場合の当然の結果であり,区分経理をしている事業者による一括比例配分方式の適用は,その事業形態により許されたり,許されなかったりするという性質のものではないから,前記控除税額の計算に一括比例配分方式の適用が許されないのに,許されると誤信した錯誤により一括比例配分方式を選択して確定申告をしたとの主張は,理由がないことが明らかであって,税額計算に誤りがあったものとは認められず,また,区分経理を行っている事業者は,確定申告の時点で,個別対応方式又は一括比例配分方式によって納付すべき消費税額を計算し得るところ,一括比例配分方式には個別対応方式に比してより計算が簡便であるという利点があるのであって,両方式の長所,短所を勘案した上で,そのいずれを選択するかは当該事業者の判断にゆだねられている以上,一括比例配分方式による税負担が個別対応方式による場合に比して大となる場合であっても,その不利益を甘受するものとして一括比例配分方式を選択したとみるほかなく,両方式による納税額の格差が顕著になるからといって,一括比例配分方式の適用が税負担の公平に反することにはならないなどとして,前記請求を棄却した事例

全文