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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成1(行ウ)2

事件名

 所得税更正処分取消請求事件

裁判年月日

 平成6年5月23日

裁判所名

 京都地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 推計課税の本質及び推計方法の合理性の意義 2 推計課税における推計方法の合理性について他の推計方法との間の優劣を争う主張の当否 3 建築型枠大工工事業を営む白色申告者につき,売上金額に同業者の平均算出所得率を乗じて事業所得の金額を推計してした所得税の更正が,適法であるとされた事例

裁判要旨

 1 推計課税は,課税標準を実額で把握することが困難な場合において,税負担公平の観点から実額課税の代替的手段として合理的な推計の方法で課税標準を算定することを課税庁に許容した実体法上の制度であり,実額課税とは別に課税庁に所得の算定を許す行為規範を認めたものであって,真実の所得を事実上の推定によって認定するものではないから,推計方法の合理性も,真実の所得を算定し得る最も合理的なものである必要はなく,実額近似値を求め得る程度の一応の合理性で足りると解すべきである。 2 課税庁の採用した推計方法が,実額課税の代替手段にふさわしい一応の合理性が認められるものであるならば,他により合理的な推計方法があるとしても,推計課税は適法というべきであり,他の推計方法との間の優劣を争う主張は失当である。 3 建築型枠大工工事業を営む白色申告者につき,反面調査により把握した売上金額に同業者の平均算出所得率を乗じて事業所得の金額を推計してした所得税の更正が,推計方法に実額近似値を求め得る程度の一応の合理性を認めることができるから,他の推計方法との間の優劣を判断するまでもなく合理性を肯定できるなどとして,適法であるとされた事例

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