裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成3(行ウ)20
- 事件名
入学不許可処分取消等請求事件
- 裁判年月日
平成4年3月13日
- 裁判所名
神戸地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 公立高等学校への入学許否処分及び入学選抜方法の選択と校長の裁量権の有無 2 公立高等学校への入学許否処分についての校長の裁量権の限界 3 公立高等学校の入学者選抜における中学校長から送付された調査書に記載されている学習評定以外の記録の取扱いについての高等学校長の裁量権 4 公立高等学校の入学者選抜において,学力以外の理由により高等学校の全課程を履修できないとの見込みが認められる場合に,その事情を考慮して合否判定をすることの可否 5 身体に障害を有する普通高等学校への入学希望者に対して,市立高等学校長がした入学不許可処分が,裁量権を逸脱又は濫用した違法なものであるとして,取り消された事例
- 裁判要旨
1 公立高等学校への入学許否処分及び入学選抜方法の選択について校長は裁量権を有する。 2 公立高等学校への入学許否処分は,憲法その他の法令から導き出される諸原則に反し,県教育委員会の定めた入学選抜要綱所定の手続を著しく逸脱し,当該処分が事実誤認に基づき,又はその内容が社会通念に照らして著しく不合理であったりするような場合には,裁量権を逸脱又は濫用したものとして,違法となる。 3 公立高等学校の入学者選抜において中学校から送付された調査書に記載されている学習評定以外の記録を資料として用いるか否かは,合否判定の権限を有する高等学校長の裁量にゆだねられていると解される。 4 公立高等学校の入学者選抜において,学力以外の理由により高等学校の全課程を履修できないとの見込みが認められる場合に,その事情を考慮して合否判定をすることが,直ちに学校長の裁量権の逸脱又は濫用に当たるわけではなく,その履修の可能性の判断に際し,身体の記録を参考としたとしても直ちにその判断が違法不当なものとなるわけではないが,身体に障害を有する生徒の高等学校への受入れに関して,障害のために単位認定が困難という理由だけで不合格の判断をすることは許されない。 5 身体に障害を有する入学希望者に対して市立高等学校長がした入学不許可処分が,同入学希望者の中学時代の学習状況及び受験当時の身体状況,同校における過去の身体障害者の履修状況及び受験当時の受入れ態勢等を総合すれば,同人が同校の全課程を履修することは十分可能であると認められ,同人が普通高等学校における教育を受けることを望んでいるにもかかわらず,養護学校の方が望ましいという理由で入学を拒否することは同人を不当に扱うものであるから,同処分は裁量権を逸脱又は濫用した違法なものであるとして,取り消された事例
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