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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行ウ)20

事件名

 消費税更正処分取消等

裁判年月日

 平成17年11月24日

裁判所名

 札幌地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 被相続人に係る課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の課税仕入れに係る控除不足還付税額及び譲渡割額に係る還付額があるとして相続人らがした消費税等の確定申告について,当該課税期間に係る基準期間に都市計画事業に関して被相続人に支払われた建物等移転補償費等の補償金が課税売上高に含まれず,被相続人は消費税法(平成15年法律第8号による改正前)9条1項本文に規定する消費税を納める義務を免除される免税事業者に当たることから,課税仕入れに係る消費税額の控除の規定の適用はないとしてされた消費税等の更正が,適法とされた事例 2 被相続人に係る課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の課税仕入れに係る控除不足還付税額及び譲渡割額に係る還付額があるとして相続人らがした消費税等の確定申告について,前記被相続人は消費税法(平成15年法律第8号による改正前)9条1項本文に規定する消費税を納める義務を免除される免税事業者に当たることから,課税仕入れに係る消費税額の控除の規定の適用はないとしてされた所得税の更正と共にされた過少申告加算税の賦課決定が,適法とされた事例

裁判要旨

 1 被相続人に係る課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の課税仕入れに係る控除不足還付税額及び譲渡割額に係る還付額があるとして相続人らがした消費税等の確定申告について,当該課税期間に係る基準期間に都市計画事業に関して被相続人に支払われた建物等移転補償費等の補償金が課税売上高に含まれず,被相続人は消費税法(平成15年法律第8号による改正前)9条1項本文に規定する消費税を納める義務を免除される免税事業者に当たることから,課税仕入れに係る消費税額の控除の規定の適用はないとしてされた消費税等の更正につき,同法2条1項8号に規定する「資産の譲渡」の対価として扱われる消費税法施行令2条2項に規定する「補償金」は,収用の目的となった資産の所有権その他の権利を取得する者から,原権利者の権利が収用によって消滅することの対価として支払われる対価補償金に限られると解するべきであって,当該資産の移転に要する費用を補てんするために支払われた移転補償金はこれに含まれないとした上,前記建物等移転補償費等の補償金は同施行令2条2項に規定する「補償金」に当たらず,同法2条1項8号に規定する「資産の譲渡」の対価とは認められず,被相続人の当該基準期間における課税売上高は0円になり,同人は免税事業者に当たるなどとして,前記更正を適法とした事例 2 被相続人に係る課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の課税仕入れに係る控除不足還付税額及び譲渡割額に係る還付額があるとして相続人らがした消費税等の確定申告について,前記被相続人は消費税法(平成15年法律第8号による改正前)9条1項本文に規定する消費税を納める義務を免除される免税事業者に当たることから,課税仕入れに係る消費税額の控除の規定の適用はないとしてされた消費税等の更正と共にされた過少申告加算税の賦課決定につき,過少申告加算税を定めた国税通則法65条1項は,単に納付すべき税額が増加する場合に限らず,還付金の額に相当する税額が更正により減少する場合についても,その減少する部分の税額について過少申告加算税賦課の対象としていることは明らかであり,また,消費税法は納付すべき税額の確定方式について申告納税方式を採用していることから,いったん私人が自ら納税義務を負担するとして納税申告をしたならば,納税申告行為が有効に成立している以上,結果的に実体上の課税要件事実が発生しなかったというだけで同申告行為により形成された納税義務者としての地位が否定されるものではないと解するのが相当であり,さらに,前記相続人らは,前記確定申告の時点で控除不足還付税額等に応じた納税義務を負担し,前記更正により減少した還付金の返還義務を負うことになったのであるから,国税通則法2条5号に規定する「納税者」及び同法65条1項に規定する「当該納税者」に当たり,加えて,前記相続人らが過大な還付金を申告した場合には,その還付金が現実に納税者に還付されているかどうかにかかわらず過少申告加算税が賦課されるのは当然であるとして,前記賦課決定処分を適法とした事例

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