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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行コ)27

事件名

 損害賠償請求控訴事件(原審・佐賀地方裁判所平成13年(行ウ)第1号)

裁判年月日

 平成18年12月21日

裁判所名

 福岡高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 太良町納税奨励に関する規程(昭和49年9月19日訓令第7号)及び太良町国民健康保険税納税奨励に関する規程(昭和49年9月19日訓令第6号)に基づいて町が町内の納税組合又は行政区に対して納税奨励金を交付したことが,納税貯蓄組合法10条1項の趣旨,地方自治法232条の2等に違反するとして,同法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,町に代位して町長個人に対してされた損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

 太良町納税奨励に関する規程(昭和49年9月19日訓令第7号)及び太良町国民健康保険税納税奨励に関する規程(昭和49年9月19日訓令第6号)に基づいて町が町内の納税組合又は行政区に対して納税奨励金を交付したことが,納税貯蓄組合法10条1項の趣旨,地方自治法232条の2等に違反するとして,同法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,町に代位して町長個人に対してされた損害賠償請求につき,納税貯蓄組合法10条1項は,同法に定める納税貯蓄組合に対する補助金に限り適用され,地方公共団体が,納税成績の向上を図るために,前記納税貯蓄組合の目的とは異なる目的で設立された団体に対して,同法に基づくことなく補助金を交付することは,必ずしも同法10条1項が禁止するところでないと解するのが相当であるところ,前記納税組合は,町の区に居住する者をもって組織する納税団体又は職域において組織する納税団体として,町民税及び固定資産税の徴収及び納付に関する事業,納税思想の普及に関する事業,その他納税に関する事業を行うものであり,納税貯蓄組合法所定の手続により設立された組合でないことは明らかであるから,前記納税奨励金は,同法10条1項の規制する補助金と認めることはできないとし,また,前記納税奨励金は地方自治法232条の2の補助金に当たるところ,納税組合,納税奨励金制度自体が,地域のつながりを維持,発展させ,住民の納税思想,意識を高揚させていることはあながち否定し難く,このような制度があることにより,町税,保険税の納付がこれまで円滑に行われ,納税率の向上に役立ってきた面もあるものと認められるから,過去に比べればその役割が低下しているものの,今なお,一定の公益的な役割を果たしていると考えられ,町議会が前記納税奨励金の支出を含む予算を満場一致で可決し,かつ,その決算も承認していること等からすれば,前記納税奨励金の支出には公益上の必要性があったというべく,町長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったとは認められないとして,前記請求を棄却した事例

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