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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)256

事件名

 指揮監督権行使等請求事件

裁判年月日

 平成19年1月12日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 社会保険庁及び厚生労働省の違法又は不適切な支出により,年金資金及び国庫に多額の損害を与え,年金給付の基礎を脅かしたとして,年金受給資格者の地位にある者らが提起した,内閣総理大臣が社会保険庁及び厚生労働省に対して内閣法6条又は憲法72条に基づく指揮監督権を行使することを求める義務付けの訴え,同指揮監督権を行使する義務のあることの確認を求める訴え及び同指揮監督権を行使しないことの違法確認を求める訴えが,いずれも不適法であるとされた事例

裁判要旨

 年金受給資格者の地位にある者らが,社会保険庁及び厚生労働省の違法又は不適切な支出により年金資金及び国庫に多額の損害を与え,年金給付の基礎を脅かしたとして提起した,内閣総理大臣が社会保険庁及び厚生労働省に対して内閣法6条又は憲法72条に基づく指揮監督権を行使することを求める義務付けの訴え,同指揮監督権を行使する義務のあることの確認を求める訴え及び同指揮監督権を行使しないことの違法確認を求める訴えにつき,内閣総理大臣は,閣議にかけて決定した方針が存在しない限り,内閣法6条に基づく指揮監督権を行使することはできないところ,閣議にかけて決定した方針が存在しない場合に内閣総理大臣が各省庁の長に対して行い得るのは,その所掌事務について一定の報告で処理するよう指導,助言等の指示をすることにとどまり,これを強制し得るものではなく,仮に,閣議にかけて決定した方針が存在する場合であっても,各省庁の長を媒介することなく,直接に当該省庁に対し特定ないし個別的な行政事務の実施を命ずることはできないのであるから,内閣総理大臣の指揮監督権には,当該方針を実現するための強制力を伴うものではないとした上,社会保険庁及び厚生労働省の各長に対して,上記内閣総理大臣の各権限が行使されたとしても,それによって年金受給資格者の地位にある者らの具体的な権利義務に直接影響が及ぶということはできないから,前記各訴えは,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」には当たらず,前記各訴えはいずれも不適法であるとして却下した事例

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