裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)216

事件名

 型式指定処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第670号)

裁判年月日

 平成19年12月5日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 電波法施行規則等の改正により導入が認められた屋内において2メガヘルツから30メガヘルツまでの周波数の搬送波により信号を送信し,及び受信する広帯域電力線搬送通信設備について総務大臣がした同規則44条1項1号(1)及び46条の2第1項に基づく型式指定処分に対し,当該通信設備から漏えいする電波によりアマチュア無線通信が妨げられるなどと主張して,アマチュア無線局の免許を有する者らが提起した同処分の取消しを求める訴えが,却下された事例
2 電波法施行規則等の改正により導入が認められた屋内において2メガヘルツから30メガヘルツまでの周波数の搬送波により信号を送信し,及び受信する広帯域電力線搬送通信設備について,当該通信設備から漏えいする電波によりアマチュア無線通信が妨げられるなどと主張して,アマチュア無線局の免許を有する者らが提起した,総務大臣が行う同規則44条1項1号(1)及び46条の2の型式指定処分及び電波法100条1項1号の許可処分の差止めを求める各訴えが,いずれも却下された事例
 

裁判要旨

 1 電波法施行規則等の改正により導入が認められた屋内において2メガヘルツから30メガヘルツまでの周波数の搬送波により信号を送信し,及び受信する広帯域電力線搬送通信設備について総務大臣がした同規則44条1項1号(1)及び46条の2第1項に基づく型式指定処分に対し,当該通信設備から漏えいする電波によりアマチュア無線通信が妨げられるなどと主張して,アマチュア無線局の免許を有する者らが提起した同処分の取消しを求める訴えにつき,取消訴訟の対象である前記型式指定処分は,電波法又は同法に基づく命令の規定による総務大臣の処分であって,同法96条の2により裁決主義が採用されているから,処分についての異議申立てに対する決定に対してのみ取消訴訟を提起することができるところ,同人らは,異議申立てに対する決定を経ることなく,原処分である前記型式指定処分に対する取消しの訴えを提起しているから,前記取消訴訟は不適法であるとして,前記訴えを却下した事例
2 電波法施行規則等の改正により導入が認められた屋内において2メガヘルツから30メガヘルツまでの周波数の搬送波により信号を送信し,及び受信する広帯域電力線搬送通信設備について,当該通信設備から漏えいする電波によりアマチュア無線通信が妨げられるなどと主張して,アマチュア無線局の免許を有する者らが提起した,総務大臣が行う同規則44条1項1号(1)及び46条の2の型式指定処分及び電波法100条1項1号の許可処分の差止めを求める各訴えにつき,裁決主義を定めた電波法96条の2の趣旨は,事実については専門的な知識経験を有する行政機関の認定を尊重し,裁判所はこれを立証する実質的な証拠の有無についてのみ審査し得るにとどめようとしたものであるところ,行政事件訴訟法の改正以前には,行政庁の公権力の行使の差止めを求めるいわゆる無名抗告訴訟の適法要件として,行政庁が当該処分をすべきでないことが一義的に明らかであり,事前審査を認めないことによる損害が大きく事前救済の必要性が顕著であり,かつ,他に適切な救済方法がないことが必要であると解され,同改正後には,行政処分の差止めの訴えは,一定の処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り提起することができ,その損害を避けるため他に適当な方法があるときはこの限りでないものと規定されているが,裁決主義及び実質的証拠法則を定めた電波法の規定について特段の手当がされなかったことを併せ考慮すれば,実定法の趣旨は,前記改正後においても,電波法又は同法に基づく命令の規定による総務大臣の処分については,その処分によって生ずるおそれがある損害を避けるための救済方法として,電波監理審議会の審理及び議決を経た後の決定に対する取消訴訟や電波法101条,82条1項に基づく総務大臣の措置命令のみを予定しているものと解されるから,前記各差止めの訴えは不適法であるとして,前記各訴えをいずれも却下した事例
 

全文