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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行コ)9

事件名

 一級建築士免許取消処分等取消請求控訴事件(原審・札幌地方裁判所平成18年(行ウ)第27号

裁判年月日

 平成20年11月13日

裁判所名

 札幌高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 建築士法(平成18年法律第92号による改正前)10条1項2号及び3号に基づき,国土交通大臣が,設計者として建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い,それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ,また,構造計算書に偽装の見られる不適切な設計をした者に対してした一級建築士の免許取消処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 建築士法(平成18年法律第92号による改正前)10条1項2号及び3号に基づき,国土交通大臣が,設計者として建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い,それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ,また,構造計算書に偽装の見られる不適切な設計をした者に対してした一級建築士の免許取消処分の取消請求につき,国土交通大臣が,同項各号の事由が認められた建築士に対していかなる処分をするかは,同大臣の裁量に委ねられており,「建築士の処分について(通知)」(建設省住指発第784号。以下「本件処分基準」という。)は,かかる裁量の範囲を具体化したものといえ,その内容に格別不合理な点は見あたらないから,本件処分基準に基づかないで処分がされた場合には,当該処分は裁量権の範囲を超えて違法となると解すべきであるとした上,本件処分基準別表第1表4の1(2)本文の規定は,同(1)の規定及び同(2)ただし書の規定と併せて考えれば,複数の処分をすべき行為のうち,最も処分等の重い行為のランクを基本に,その他の処分すべき行為について,その行為に応じた処分ランクの範囲内で適宜加重してランクを決する趣旨であると合理的に解釈できるところ,前記各設計については,最も処分等の重い違反設計のランク6を基本として,その他11件の行為をその行為に応じた処分ランクの範囲内で適宜加重すれば,仮にその他の行為を最低の1ランクと評価したとしても,免許取消処分となる16ランクを超える17ランクとなることは避けられないことなどからすれば,前記免許取消処分は,本件処分基準別表第1(2)本文の要件を満たしており,裁量権の逸脱があったと認めることはできないなどとして,前記請求を棄却した事例

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