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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行ウ)41

事件名

 相続税更正処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成20年7月23日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 相続開始時に特別医療法人に貸借されていた土地に係る被相続人の共有持分について,土地の無償返還に関する届出書が提出されている場合の貸宅地の評価に関する特例を定める通達の定め(「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」(昭和60年課資2−58(例規),直評9。平成17年課資2−4外による改正前)8)に基づき,自用地として評価した価額の80パーセント相当額を評価額としてされた相続税の更正処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 相続開始時に特別医療法人に貸借されていた土地に係る被相続人の共有持分について,土地の無償返還に関する届出書(以下「無償返還届出書」という。)が提出されている場合の貸宅地の評価に関する特例を定める通達の定め(「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」(昭和60年課資2−58(例規),直評9。平成17年課資2−4外による改正前)8)に基づき,自用地として評価した価額の80パーセント相当額を評価額としてされた相続税の更正処分につき,前記通達8が,その場合の貸宅地の価額の評価につき,同土地の自用地としての価額によるのではなく,自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価することとしているのは,借地権が設定されている土地のうち,無償返還届出書が提出されている場合の土地について課税関係が生じたときは,同土地は賃貸されていることから現にその利用は一定の制限を受けており,相続開始の時に返還されるものではなく,その返還に際しては借地借家法による制約も受け得ること,権利金の取引慣行がない地域でも貸宅地の評価額の算定において借地権の価額はある程度斟酌されること等の点が考慮されたものと解されるところ,このような課税上の取扱いは合理性があるとした上で,前記土地は,借地権の設定に際してその設定の対価として権利金を支払う取引慣行があると認められる地域に存在したところ,前記土地に係る賃貸借契約の締結に当たり,権利金の授受はされず,収受される地代も相当の地代に満たなかったが,権利金の授受に代えて,前記賃貸借契約の当事者である借地人と土地所有者が無償返還届出書を提出したことが認められるから,前記土地の時価は,前記通達8によって評価されることとなるとして,前記処分を適法とした事例

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