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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)53

事件名

 地方自治法242条の2第1項に基づく住民訴訟事件

裁判年月日

 平成20年11月25日

裁判所名

 神戸地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 財産区の管理者に対する管理者報酬及び会計事務担当者に対する会計事務報償金の各支払が,法律又は条例に基づかない違法な報酬の支払であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,当該職員又は当該行為の相手方としての財産区管理者個人らに損害賠償請求をすることを執行機関としての財産区管理者に対して求めた各請求が,いずれも一部認容された事例2 自治団体が目的外使用許可を得ることなく財産区の所有する温泉会館の一部を無償で事務所として使用していることを財産区が容認していることが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,財産区の管理者に対してされた財産区財産の管理を怠る事実の違法確認請求が,認容された事例

裁判要旨

 1 財産区の管理者に対する管理者報酬及び会計事務担当者に対する会計事務報償金の各支払が,法律又は条例に基づかない違法な報酬の支払であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,当該職員又は当該行為の相手方としての財産区管理者個人らに損害賠償請求をすることを執行機関としての財産区管理者に対して求めた各請求につき,財産区は,固有の執行機関を持たず,財産区の事務処理は市町村等の長及び職員の本来の職務の執行であるから,かかる職務の対価としての給与は,地方自治法294条2項で財産区が負担すべきと規定されている「特に要する費用」に当たらないとした上,前記財産区が,その事務処理に当たる職員に対して報酬を支払うことは,実質的には,同一の職務執行に対し,町及び財産区から二重に給与を支給するものであり,また,市町村等の条例によらずに長又はその職員に給与を支払うのに等しく,給与条例主義を定めた地方公務員法24条6項,同法25条1項,地方自治法204条3項,同法204条の2の趣旨に反するから,たとえ財産区の制定した条例によってもかかる報酬の支払は違法であるとして,前記各請求をいずれも一部認容した事例2 自治団体が目的外使用許可を得ることなく財産区の所有する温泉会館の一部を無償で事務所として使用していることを財産区が容認していることが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,財産区の管理者に対してされた財産区財産の管理を怠る事実の違法確認請求につき,財産区の所有する前記温泉会館は,公衆の入浴,休息及び集会などの用に供されていることからすれば,地方自治法238条4項にいう行政財産に当たるところ,行政財産については原則として私権の設定は無効であり,その用途又は目的を妨げない限度で使用許可ができるとされているのであるから,財産区の管理者において前記自治団体が目的外使用許可を得ないで前記温泉会館の一部の無償使用を容認していることは,財産の管理を怠っている違法があるとして,前記請求を認容し事例

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