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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行コ)285

事件名

 源泉徴収に係る所得税の納税告知及び不納付加算税の賦課決定取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成19年(行ウ)第277号)

裁判年月日

 平成20年11月27日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合の組合員の死亡脱退に係る持分払戻金のうち,当該組合員の出資金を超える部分が,死亡した組合員の所得となるとされた事例
2 組合員の死亡脱退に係る脱退組合員持分払戻金のうち,組合員の出資金を超える部分が,所得税法(平成13年法律第6号による改正前又は平成15年法律第54号による改正前)25条所定のみなし配当に当たるとして,中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合に対してした配当所得に係る源泉所得税の納税告知処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 1 中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合の組合員の死亡脱退に係る持分払戻金のうち,当該組合員の出資金を超える部分につき,同法の規定及び前記組合の定款によれば,同組合においては,組合員の死亡により,原則として,脱退後の事業年度末日における払戻対象金額を出資口数に応じて算定した金額の持分の払戻請求権が当然に発生し,当該組合員の払込済出資額等以上の額の部分は,総会決議により減額されることがあることをいわば一部解除条件として,死亡した組合員がこれを取得するというべきであるとして,前記超過部分は,死亡した組合員の所得となるとされた事例
2 組合員の死亡脱退に係る脱退組合員持分払戻金のうち,組合員の出資金を超える部分が,所得税法(平成13年法律第6号による改正前又は平成15年法律第54号による改正前)25条所定のみなし配当に当たるとして,中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合に対してした配当所得に係る源泉所得税の納税告知処分につき,前記超過額は死亡した組合員の所得となり,かつ,同法の定めの下での組合員の持分又はその払戻請求権が,所得税法(平成18年法律第80号による改正前)9条1項15号及び相続税法3条1項2号にいう被相続人の死亡により相続人その他の者が受けた当該被相続人に支給されるべきであった退職手当金,功労金その他これらに準ずる給与並びに相続税基本通達3−32,3−33にいう被相続人の死亡後に確定した賞与や相続開始時に支給期が到来していない俸給,給料等に直接に該当すると解することはできず,また,いわば組合の純資産に対して組合員が当然に持つべき「分け前」であり,組合員の基本的な権利として位置づけられる性質を有するものであって,実質的にみても,これを雇用契約等から生じる退職手当金,賞与,給与等と同一に扱うべき理由はないなどとして,前記処分を適法とした事例

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