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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行コ)67

事件名

 怠る事実の違法確認請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成19年(行ウ)第165号)

裁判年月日

 平成21年9月18日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 府議会議員らに対し,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前)に規定されていない会議又は委員会に出席したことに対する費用弁償を支給したことに関して,府において,前記議員らに対し,不当利得返還請求権を行使すべきであるにもかかわらず,これを怠っているのは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,府知事に対して前記怠る事実の違法確認を求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 府議会議員らに対し,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前)に規定されていない会議又は委員会(以下「法定外会議」という。)に出席したことに対する費用弁償を支給したことに関して,府において,前記議員らに対し,不当利得返還請求権を行使すべきであるにもかかわらず,これを怠っているのは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,府知事に対して前記怠る事実の違法確認を求める請求につき,憲法及び地方自治法上,普通地方公共団体の議会は,長が提出した議案について議決するだけにとどまらず,当該普通地方公共団体の住民の代表機関として,当該普通地方公共団体における行政全般にわたる基本的施策等を提議,議論し,当該普通地方公共団体の住民の福祉増進を図る積極的役割を広く担う存在として位置付けられており,普通地方公共団体の議会は,その機能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有しているものと解されることからすると,普通地方公共団体の議会の組織,権限及び運営等について定める同法の規定は,普通地方公共団体の議決機関である議会についての基本的事項を定めたものであって,それ以外の活動を禁止する趣旨ではなく,普通地方公共団体の議会の活動を効率的かつ円滑に行うために合理的な必要性があるときは,法律の許容する範囲内で法定外会議を設置することができるものと解されるから,法定外会議への議員の出席は,議員の職務そのものであるというべきであって,地方自治法203条3項にいう「職務」に当たり,これにつき費用弁償を支給することも許されるとした上で,大阪府議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和31年大阪府条例第21号)4条3項の定める費用弁償事由についてその費用弁償額を定める同条例別表の規定が,実費と著しくかい離し実費弁償としての実質を失っているともいえないとして,前記請求を棄却した事例

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