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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ウ)84

事件名

 公共下水道負担金決定処分取消請求事件

裁判年月日

 平成22年10月28日

裁判所名

 名古屋地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 合併後の地方公共団体が合併前のそれぞれの公共下水道事業ごとの受益者負担金の算定方法を維持する旨の稲沢中島都市計画稲沢下水道事業受益者負担に関する条例(平成9年稲沢市条例第40号)4条は,合併後の地方公共団体の住民間において受益者負担金の算定方法に差異を生じさせるものであって,憲法14条1項,都市計画法75条1項に違反して無効であるとして,同条例4条に基づいてされた公共下水道事業受益者負担金決定処分の取消しを求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 合併後の地方公共団体が合併前のそれぞれの公共下水道事業ごとの受益者負担金の算定方法を維持する旨の稲沢中島都市計画稲沢下水道事業受益者負担に関する条例(平成9年稲沢市条例第40号)4条は,合併後の地方公共団体の住民間において受益者負担金の算定方法に差異を生じさせるものであって,憲法14条1項,都市計画法75条1項に違反して無効であるとして,同条例4条に基づいてされた公共下水道事業受益者負担金決定処分の取消しを求める請求につき,都市計画法75条1項は,受益の限度内において受益者間で負担金の額に差異を設けるか否かについて,直接規律するところではないことは明らかであるから,受益の限度内で受益者負担金の額に差異を設けても,同項に違反せず,また,公共下水道事業がその処理区域の下水道の利用者に特に便益を与えるものであることにかんがみ,このような費用の一部を公共下水道の受益者に分担してもらうという同項の趣旨等に照らせば,合併前の地方公共団体における公共下水道事業の受益者負担金の算定方法が異なる場合,合併後の地方公共団体は,合併前の地方公共団体が行っていた公共下水道事業の規模,それまでにかかった費用,その財源及び合併前の地方公共団体が受益者負担金の算定方法を採用した理由等の諸事情を総合して合理的な裁量により,受益者負担金の算定方法を統一するか従前の各算定方法を維持するかを決することができるものと解され,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して受益者負担金の算定方法を条例で定めたと認められない限り,当該条例は憲法14条1項には違反しないというべきであるところ,当該合併に際して合併後の受益者負担金の算定方法を統一化すると,それまで高い割合の受益者負担金を負担していた既存の利用者を実質的に不平等に取り扱うことになりかねないこと等を考慮すると,当該合併前の算定方法を維持することは,その合理的な裁量の範囲内のことであって,前記条例4条は,当該合併後の地方公共団体の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して定められたものであるとは認められないとして,前記請求を棄却した事例

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