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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ウ)324等

事件名

 固定資産税等賦課処分取消請求事件[A事件],訴えの追加的併合申立事件[B事件]

裁判年月日

 平成22年9月29日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 出訴期間内に提起された固定資産税賦課決定の取消しを求める訴えに,固定資産課税台帳に登録された価格に関する審査の申出に対して固定資産評価審査委員会がした却下決定の取消しを求める訴えが出訴期間経過後に追加的に併合して提起されたことにつき,行政事件訴訟法14条1項ただし書にいう「正当な理由」があると認められるとされた事例
2 家屋とこれに設置された昇降機設備とを一体のものとして決定された同家屋の価格について不服があるとしてされた固定資産税課税台帳に登録された価格に関する審査の申出に対して,固定資産評価審査委員会が同昇降機設備が同家屋の評価に含まれるか否かについての判断は課税客体の範囲の確定に関する不服であって価格に関する不服ではないとしてした却下決定が違法とされた事例

裁判要旨

 1 出訴期間内に提起された固定資産税賦課決定の取消しを求める訴えに,固定資産課税台帳に登録された価格に関する審査の申出に対して固定資産評価審査委員会がした却下決定の取消しを求める訴えが出訴期間経過後に追加的に併合して提起されたことにつき,同台帳に登録された価格についての不服に当たるか否かの判断が微妙な事案においては,同委員会の決定の理由いかんにより,同委員会の決定の取消しの訴えによるべきなのに誤って賦課決定の取消しの訴えを提起する者が現れることもあり得るところであり,そうした者を救済する必要があることについては,行政事件訴訟法20条の場合と変わらない場合もあるものというべきであるとした上,本件においては,賦課決定の取消しを求める審査請求を棄却する旨の裁決及び前記却下決定を受けたため,当該賦課決定の取消しを求める訴えを提起したところ,被告から,同台帳に登録された価格に対する不服を当該賦課決定の取消理由として主張していることになる旨の主張がされたこと,前記各訴えにおける不服の内容が同一であることに加えて,同条の趣旨も鑑みると,同法14条1項ただし書にいう「正当な理由」があると認められるとした事例
2 家屋とこれに設置された昇降機設備とを一体のものとして決定された同家屋の価格について不服があるとしてされた固定資産税課税台帳に登録された価格に関する審査の申出に対して,固定資産評価審査委員会が同昇降機設備が同家屋の評価に含まれるか否かについての判断は課税客体の範囲の確定に関する不服であって価格に関する不服ではないとしてした却下決定につき,課税客体である固定資産について,例えば,それがどのような地目,地積,形状であるか,あるいは,その家屋の種別がいかなるものであり,その床面積はどれほどであるかといった,価格を算出する要因にかかわる当該固定資産の性状あるいは内容の確定に関する不服は,登録価格についての不服として審査の申出の対象となるものと解されるとした上,前記審査の申出に係る不服は,課税客体が同家屋であることを前提に,同昇降機設備が同家屋と一体となって同家屋の内容を構成しておりその全体の評価額が同登録価格となるとの点に対して,同家屋には同昇降機設備が含まれないため同昇降機設備の評価額の分だけ過大であるから,登録価格を同昇降機設備分だけ減額修正すべきであるというものであると解され,この問題の結論いかんによって同家屋の価格が直接左右されることが明らかであることに鑑みれば,これが同家屋の価格を算出する要因にかかわる同家屋の内容の確定に関する不服に当たるということができるのであって,前記不服は,登録価格についての不服として審査の申出の対象となるものというべきであるとして,前記決定を違法とした事例

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