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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行ウ)174

事件名

 学校廃止処分取消請求事件

裁判年月日

 平成24年7月4日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 学校設置条例(昭和39年大阪市条例第57号)の一部を改正する条例(平成20年大阪市条例第86号)の制定による養護学校の廃止が,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例

裁判要旨

 学校設置条例(昭和39年大阪市条例第57号)の一部を改正する条例(平成20年大阪市条例第86号)の制定によって養護学校が廃止されたことにつき,特別支援学校の指定に関する学校教育法及びその関連法令に基づく仕組みに照らすと,認定就学者を除く視覚障害者等に該当する児童生徒は,市町村又は都道府県が設置する特別支援学校に就学し,法定の年限,当該児童生徒に応じた特別支援教育を受ける権利を有し,その保護者は,これを受けさせる権利又は法的利益を有しているということはできるものの,それを超えて,学校教育法等が,当該児童生徒及びその保護者に対し,特定の特別支援学校において特別支援教育を受ける権利及び受けさせる権利又は法的利益までも保障していると解することはできないから,視覚障害者等に該当する児童生徒が特定の特別支援学校に就学することにより,当該児童生徒と地方公共団体との間に当該特別支援学校の利用関係が生じたとしても,当該利用関係は,当該児童生徒又はその保護者の選択権に基づいて設定されたものではなく,当該地方公共団体の教育委員会の指定通知に基づいて設定され,当該学校の廃止等の事情がない限り,法定の年限に満つるまで事実上継続するものにすぎないのであって,当該児童生徒及びその保護者は,当該特定の特別支援学校において,法定の年限に満つるまで特別支援教育を受けることを期待し得る法的地位を有するということはできず,したがって,特別支援学校の廃止を内容とする条例の制定行為については,これにより現に当該特別支援学校において教育を受けている児童生徒が,社会通念上特別支援学校において障害に応じた特別支援教育を受けることができなくなるような場合でない限り,当該児童生徒及びその保護者の法的地位に影響を及ぼすものではないとした上で,前記養護学校に就学し教育を受けていた児童生徒は,同校が廃止されてもなお,市が設置する特別支援学校においてその障害に応じた特別支援教育を受けることが可能であったのであるから,前記条例の制定は抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しないとした事例

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