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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成25(行コ)4

事件名

 免許更新修了確認期限延期申請棄却処分取消請求控訴事件(原審・熊本地方裁判所平成23年(行ウ)第10号)

裁判年月日

 平成25年6月20日

裁判所名

 福岡高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 改正前の教育職員免許法の規定により授与された旧免許状の所持者であって現職教員である者が,修了確認期限までに更新講習課程修了確認を受けることができない「やむを得ない事由」があるとして前記期限の延期を申請したのに対し,免許管理者である県教育委員会がこれを棄却した処分の取消しを求める訴えにつき,教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令(平成20年文部科学省令第9号)附則7条1項1号所定の事由がなくなった日から起算して2年2月が経過した後であっても訴えの利益が認められるとされた事例
2 改正前の教育職員免許法の規定により授与された旧免許状の所持者であって現職教員である者が,修了確認期限までに更新講習課程修了確認を受けることができない「やむを得ない事由」があるとして前記期限の延期を申請したのに対し,免許管理者である県教育委員会が,前記申請に係る延期事由は教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令(平成20年文部科学省令第93号)附則7条1項各号所定の延期事由に該当しないなどとしてした前記申請の棄却処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 1 改正前の教育職員免許法の規定により授与された旧免許状の所持者であって現職教員である者が,修了確認期限までに更新講習課程修了確認を受けることができない「やむを得ない事由」があるとして,教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律(平成19年法律第98号)附則2条10項,教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令(平成20年文部科学省令第9号)附則9条1項3号及び前記法律附則2条4項に基づき,前記期限の延期を申請したのに対し,免許管理者である県教育委員会がこれを棄却した処分の取消しを求める訴えにつき,前記法律附則2条4項前段の趣旨が,前記旧免許状の所持者であって現職教員である者が「やむを得ない事由」により修了確認期限までに更新講習課程の修了が困難であるにもかかわらず,同期限までに更新講習修了確認を受けることができないという理由で,その有する旧免許状を失効させることのないよう,同教員に対し,合理的な期間の範囲内で修了確認期限の延長を認め,更新講習受講の機会を確保するというものであると解されることに照らせば,修了確認期限の延期申請の棄却処分が違法であり,取り消されるべき場合には,同附則2条5項等はそのまま適用されず,旧免許状は失効していないこととなり,免許管理者において,改めて延期申請について延期を認めるべきことになると解され,同教員が当該延期された修了確認期限までに更新講習修了確認を受ける限り,旧免許状が失効することはないとして,前記省令附則7条1項1号所定の事由がなくなった日から起算して2年2月が経過した後であっても訴えの利益が認められるとされた事例
2 改正前の教育職員免許法の規定により授与された旧免許状の所持者であって現職教員である者が,修了確認期限までに更新講習課程修了確認を受けることができない「やむを得ない事由」があるとして,教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律(平成19年法律第98号)附則2条10項,教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令(平成20年文部科学省令第9号)附則9条1項3号及び前記法律附則2条4項に基づき,前記期限の延期を申請したのに対し,免許管理者である県教育委員会が,前記申請に係る延期事由は同項所定の延期事由に該当しないなどとしてした棄却処分につき,修了確認期限の延期に係る処分が授益処分であり,当該教員による申請に対する応答処分とされていることに照らせば,免許管理者による延期の審査の判断対象及び資料は,特段の事情のない限り,申請者の申請に係る事項及び資料とする必要性及び合理性が認められるというべきであるところ,また,申請書に記載された延期事由は前記省令附則7条1項所定の延期事由に該当しないが,免許管理者において,同延期事由の他に,当該申請者に係る延期事由の存在を認識しているのであれば,当該申請に係る延期事由の変更を促すなどの行政指導をすべきと解されるものの,当該申請者が同行政指導に従う意思がない旨を明確にした場合には,免許管理者としては,前記行政指導に従わないまま審査を受け許否の決定を受けるという当該申請者の権利の行使を妨げることなく,当該申請者の意思に従って,審査し許否を決定すべきであるとし,前記現職教員はそのような場合に当たるとして,前記処分を適法とした事例

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