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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成24(行ウ)106

事件名

 原爆症認定申請却下処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成26年3月20日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 被爆者援護法10条1項の要医療性の要件の解釈
2 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定申請に係る骨髄異形成症候群について,同法10条1項の要医療性が認められた事例

裁判要旨

 1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定申請に係る申請疾病について,定期検査等によって当該疾病が悪化していないかどうか経過観察をするにとどまり,積極的な治療行為を伴わないような場合については,基本的には,同法10条1項にいう「医療を要する状態にある場合」に当たらないが,そのような場合であっても,当該申請疾病の予後として一般に悪化することが予想され,その悪化の度合いに応じてそれに的確に対処するための積極的な治療行為を行うことを要することとなる場合などは,医師による定期的な経過観察自体が当該疾病を治療するために必要不可欠な行為といえるのであって,そのようなものとして医師による定期的な経過観察を受けているような場合には,当該申請疾病につき「現に医療を要する状態にある」ものとして,要医療性が認められる。
2 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定申請に係る骨髄異形成症候群について,その申請時及び却下処分時において積極的な治療を受けておらず,経過観察がされているにとどまっている状態にあったものの,骨髄異形成症候群の予後は一般に悪化することが予想されることに加え,血液検査の結果においては,白血球数,赤血球数,ヘモグロビン量,血小板数,好中球数のいずれもが減少傾向にあり,その数値の推移からは,今後も血球数等が更に減少していくことが十分に予想され,赤血球減少に伴う貧血,白血球減少に伴う易感染状態,血小板減少に伴う出血傾向といった臨床症状を呈し,赤血球輸血,血小板輸血等の積極的な治療が必要になることが想定される状態にあるといえることからすると,当該骨髄異形成症候群は,その悪化の度合いに応じてそれに的確に対処するための積極的な治療行為を要することとなるような場合であったといえ,同法10条1項の要医療性が認められる。

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