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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成26(行コ)22

事件名

 蒲郡競走場都市ガス公金支出差止請求控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成24年(行ウ)第139号)

裁判年月日

 平成26年7月30日

裁判所名

 名古屋高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 市が競艇施設の空調熱源となる都市ガスの供給契約を随意契約の方法により締結したことが違法でないとされた事例

裁判要旨

 市が競艇施設の空調熱源となる都市ガスの供給契約を随意契約の方法により締結したことは,次の(1)~(5)など判示の事情の下では,地方自治法234条2項,同施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するものであり,その裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものということはできず,違法でない。
  (1) ガス事業法(平成23年法律第109号による改正前のもの)上,都市ガスの供給については,供給区域ごとに許可を受けた特定の一般ガス事業者のみとしかガス供給契約を締結することができない許可制が採られていた上,ガス料金その他の供給条件についても,当該事業者が定めて認可を受けた供給約款に従うことが義務付けられていた。
  (2) 市は,年間ガス使用量が10万立方メートル以上の大口契約を締結する場合,前記(1)の特定の一般ガス事業者以外ともガス供給契約を締結することができるが,その場合には,ガス事業法(平成23年法律第109号による改正前のもの)に基づく大口基準未達補償料の支払義務を負うおそれもあったところ,前記施設に都市ガスを供給し得る一般ガス事業者である前記契約の相手方ほか1社はいずれも,市からの照会に対し,通常の小口契約を前提とする回答をしていた。
  (3) 市が前記契約の相手方ほか1社からの回答を比較検討した結果,両社間でガス配管施設費用のうち市が負担する負担金の有無等には違いがなく,前記相手方のガス料金はもう1社のそれよりも下回っていた。
  (4) 前記契約の相手方は,市に近接する限られた地域に都市ガスを供給していたのに対し,もう1社は,広範な地域に都市ガスを供給していたものの他の地域ほどには市における供給区域が広がっておらず,市におけるLPガスの供給世帯数も,前記相手方がもう1社を上回っていた。
  (5) 市所在の商工会議所は,地元とのつながりが深く地域貢献にも実績のある企業グループによる都市ガス供給が望ましいとの意見を表明していた。

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