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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成26(行ウ)649

事件名

 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日

 平成30年4月19日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 賃貸用の建物の建築資金とするための借入れに係る債務の返済に充てられた借入金の債務につき,その免除を受けることにより得た利益が不動産所得に当たるとされた事例
2 土地の購入資金とするための借入れに係る債務の返済に充てられた借入金の債務につき,その免除を受けることにより得た利益が不動産所得に当たらないとされた事例
3 農業用機械の購入資金とするための借入金の借換え等に係る債務の返済に充てられた借入金の債務につき,その免除を受けることにより得た利益が事業所得に当たるとされた事例
4 農地の購入資金とするための借入れに係る債務の返済に充てられた借入金の債務につき,その免除を受けることにより得た利益が事業所得に当たらないとされた事例

裁判要旨

 1 借入金の一部につき,賃貸用の建物の建築資金とするための借入れに係る債務の返済に充てられるなど,当該返済に充てられた部分に係る借入金債務の免除を受けたことにより得た利益が不動産貸付業務の運転資金的性質を有しているものと評価できるという判示の事情の下においては,当該利益は不動産所得に当たる。
2 借入金の一部につき,農地の購入資金とするための借入れに係る債務の返済に充てられており,当該農地が宅地に変更された上で賃貸用の建物の敷地に供されているとしても,借主が,貸主の不良債権の処理のために,その依頼に応じて,貸主から金銭を借り入れて農地を購入することもあったなど,上記購入資金としての借入れが不動産貸付業務の遂行に関わりなく行われたものであることが否定できないという判示の事情の下においては,当該返済に充てられた部分に係る借入金債務の免除を受けたことにより得た利益は不動産所得に当たらない。
3 借入金の一部につき,農業用機械の購入資金とするための借入金の借換え等に係る債務の返済に充てられているなど,当該返済に充てられた部分に係る借入金債務の免除を受けたことにより得た利益が農業の運転資金的性質を有しているものと評価できるという判示の事情の下においては,当該利益は事業所得に当たる。
4 借入金の一部につき,農地の購入資金とするための借入れに係る債務の返済に充てられているとしても,借主が,貸主の不良債権の処理のために,その依頼に応じて,貸主から金銭を借り入れて農地を購入することもあったなど,上記購入資金としての借入れが農業の遂行に関わりなく行われたものであることが否定できないという判示の事情の下においては,当該返済に充てられた部分に係る借入金債務の免除を受けたことにより得た利益は事業所得に当たらない。

【参考法令】
1,2につき
・ 所得税法26条1項
3,4につき
・ 所得税法27条1項

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