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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成29(行ウ)99

事件名

 退去強制令書発付処分等取消請求事件

裁判年月日

 平成30年10月11日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 ベトナム国籍の母子につき,在留特別許可を付与することなく出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出に理由がないとした各裁決が,いずれも裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであって違法であるとされた事例

裁判要旨

 出入国管理及び難民認定法24条4号ロないし同条7号の退去強制事由に該当するベトナム国籍の母子のした同法49条1項に基づく各異議の申出につき,在留特別許可を付与することなく異議の申出に理由がないとした東京入国管理局長の各裁決は,次の⑴~⑶など判示の事情の下では,いずれも裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであって違法である。
 ⑴ 子に関し,不法残留となったことについて,本邦で出生し,裁決当時0歳であった子自身には何ら責に帰すべき事由はなく,また,裁決時点における不法残留の期間は2か月余りの短期間にすぎない。
 ⑵ 超低出生体重児として出生した子の裁決当時の健康状態,ベトナムの医療事情,ベトナムに送還された場合に想定される生活状況等に照らすと,子は,裁決当時,その生命の維持,身体の発育のため本邦での治療を必要としており,ベトナムに送還することにつき著しい支障があった。
 ⑶ 母に関し,本邦での治療を要する子の看護をする必要があったという点において,裁決当時,母をベトナムに送還することにつき著しい支障があった。

【参考法令】
 出入国管理及び難民認定法49条1項,50条1項4号

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